必見記事
2024/06/18
自力で治せる?大人も子供もOK!受け口を治すトレーニングとマッサージ4選!
目次
受け口とは、噛んだときに上の前歯よりも下の前歯が出ている状態です。
「反対咬合」「下顎前突」とも言われます。
受け口は、大人も子供も歯医者で歯科矯正治療を受けて治すのが一般的です。
しかし、歯科矯正治療には1〜3年程度の長い期間と数十万円〜百万円単位のお金がかかるため、自分でなんとかできないかと考える人も多いでしょう。
今回は、受け口の原因を踏まえて、受け口を治すトレーニングとマッサージをご紹介します。
また、自力で行うトレーニングやマッサージが受け口の改善にどのくらい効果があるのかも解説します!
受け口(反対咬合)の原因は6つある
受け口は、以下のようなことが原因で起こる可能性があります。
- 遺伝的な要因
- 前歯が生えている向き
- 下顎の大きさ
- 舌の位置
- 口呼吸
- 癖
なぜこれらが受け口を引き起こすのか、一つずつ詳しくみてみましょう。
受け口の原因①|遺伝的な要因
遺伝的な要因は、受け口を引き起こす可能性があります。
- 歯の大きさが原因で上の歯列のアーチよりも下の歯列のアーチが大きくなってしまう
- 骨格的に上顎よりも下顎が大きい
- 舌が短い、下の裏側の筋が短い
このように、歯の大きさ、骨格、舌の形に受け口を誘発する要因を持っている場合は、遺伝的な要因で受け口になりやすい人です。
親や祖父母が受け口の場合は、受け口になる遺伝子を持っていることが多いです。
受け口の原因②|前歯が生えている向き
上の前歯が内向き、下の前歯が外向きに傾斜して生えている場合は、噛んだときに下顎の方が前に出てしまい受け口になることがあります。
遺伝的な要因でなることもありますが、舌で下の前歯を押し出す癖、上唇を噛む癖によって後天的に下の前歯が外側に傾斜することもあります。
受け口の原因③|下顎の大きさ
上顎の成長不足、下顎の過成長などが原因で下顎が上顎よりも大きい場合は、受け口になります。
下顎が大きくなる理由は、骨格的に上顎よりも下顎が大きい遺伝子を持っている、舌の癖や口呼吸などの後天的な原因で下顎の成長が促進されることなどが挙げられます。
下顎の大きさが原因の受け口は、特に下顎の成長が活発になる13歳くらいにはっきりと現れることが多いです。
これよりも低年齢のうちから下顎が前に出ている傾向がある場合は、成長とともに受け口が重症化する可能性があります。小児矯正をして、成長期が終わる前に対策をとるのがおすすめです。
受け口の原因④|舌の位置
安静時に口を閉じたときに舌が上顎についていない人は、受け口になる可能性があります。
舌の位置は安静時に舌が上顎についており、舌の先端が上の前歯の裏側の歯茎にあるのが正しい位置です。
舌は内側から顎を押し広げて成長を促進するため、舌の位置が上顎についていれば上顎を、下顎の方に下がっていれば下顎の成長を促進します。
そのため、舌の位置が下顎の方にある人は上顎が成長せずに下顎だけが大きくなり、結果的に受け口になる可能性があるのです。
舌が上顎に付けられない原因は、舌が短い、舌の裏側の筋が短い(舌小帯短縮症)、舌の筋力が弱いことなどが挙げられます。
受け口の原因⑤|口呼吸
口で呼吸をしている場合は、受け口になる可能性があります。
口呼吸の人は舌を下顎の方に押し下げて下顎の成長を促進していることが多く、上顎の成長も不十分になりやすいためです。
口呼吸のきっかけは、子供のときのアレルギーや花粉症による鼻づまり、アデノイド(咽頭扁桃)・口蓋扁桃の過度な肥大が原因で鼻で呼吸できなくなることです。
また、唇の筋力が弱くて口が閉じられないために、口で呼吸する習慣がついてしまうこともあります。
受け口の原因⑥|癖
舌で下の前歯を押し出す癖、下顎を前に突き出す癖などが原因で、受け口になることがあります。
受け口を誘発するような癖は、無意識に始まるものと機能的な問題によるものがあります。
機能的な問題による癖とは、離乳の時期に舌の動きや唇を閉じる力を獲得できずに起こる癖です。
人は物を飲み込むとき、唇を閉じて舌を上顎につけることで食べ物を喉に送り込みます。
この動きを覚えるのが、離乳の時期です。
離乳の時期に正常に食べ物を送り込む舌や唇の動きが獲得できないと、舌で下の前歯を押し出したり、下顎を前に突き出したりしないと食べ物を飲み込めなくなります。
これにより、受け口を誘発するような癖がついてしまうことがあるのです。
大人も子供もOK!受け口を治すトレーニング4選
自力で受け口を治す方法として、トレーニングで口周りや舌の筋肉を鍛えたりマッサージで筋肉の緊張を解いたりする方法があります。
トレーニングは受け口の原因となる口呼吸や舌の位置、舌の癖を改善するために行うもので、大人も子供も行うことができます。
一般的に行われることのある、受け口を治すためのトレーニングとマッサージを4つご紹介します。
- 舌まわしトレーニング
- 唇を前に突き出すトレーニング
- 舌の位置改善トレーニング
- 受け口改善マッサージ
受け口を治すトレーニング①|舌まわしトレーニング
舌で歯をなぞることで、歯列に圧をかけて受け口を改善する方法です。
以下の手順で、舌で下の歯を内側に押す力と上の歯を外側に押し出す力をかけます。
- 口を閉じた状態で舌の先で下の奥歯の外側を触る
- 反対側の下の奥歯に向かって、下の歯の表側を舐めるように舌を移動させる
- 舌で上の奥歯の内側を触る
- 反対側の上の奥歯に向かって、上の歯の内側を舐めるように舌を移動させる
受け口を治すトレーニング②|唇を前に突き出すトレーニング
唇を前に突き出して、唇の上下の筋肉を鍛えるトレーニングです。
受け口の人は、口周りの筋肉の中でも唇の上下の筋肉が弱いことが多いです。
このトレーニングは、受け口による口周りの筋肉バランスの乱れを整えるのに効果的です。
以下の手順で行います。
- 唇をおちょぼ口にするイメージで前に突き出す
- 突き出した唇を下に戻す
受け口を治すトレーニング③|舌の位置改善トレーニング
舌を正しい位置に導くためのトレーニングです。
舌を正しい位置に置いて鍛え、受け口の原因となる舌を前に突き出す癖や下の歯を前に押し出す癖などを改善するために行います。
以下の手順で行いましょう。
- 舌の先端を上の前歯の付け根の歯茎に置いて上顎に付ける
- そのまま5秒キープ、5回ほど行う
受け口を治すトレーニング④|受け口改善マッサージ
受け口の人は、口周りの筋肉が緊張して凝り固まっていることがあります。
口周りの筋肉の緊張が受け口を悪化させることもあるため、受け口改善マッサージで口周りの筋肉をほぐしてコリをほぐしましょう。
耳の下から顎先に向かって、親指の付け根で円を描きながらマッサージするだけでOKです。
受け口を放っておくとどうなる?
受け口を放置すると、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 受け口が成長とともに悪化する可能性が
- 咀嚼機能が低下する可能性がある
- 顎関節症になるリスクが高くなる
- 発音に障害が生じる可能性がある
受け口を放置するリスク①|受け口が成長とともに悪化する可能性がある
下顎は18歳くらいまで成長します。
そのため、これよりも低い年齢のときに受け口の兆候がある場合は、下顎の成長期が終わるまでは成長とともに受け口が悪化する可能性があります。
受け口が悪化すると噛み合わせが悪くなり、最終的に顎の変形を引き起こします。
横から見た時に中顔面が凹んだ三日月のような顔つきになる、下顎が長くなるなど、受け口特有の顔貌が現れるので注意が必要です。
受け口を放置するリスク②|咀嚼機能が低下する可能性がある
受け口の人は通常とは上下逆に歯が噛み合っています。
そのため、噛んだときに歯が引っかかって上手く噛めない、前歯で食べ物を噛みきれないなど、しっかり噛むことができていない可能性があります。
良好な噛み合わせの人と比べて咀嚼機能が低いため、歯や顎に負担がかかりやすくなります。
受け口を放置するリスク③|顎関節症になるリスクが高くなる
受け口の人は噛み合わせが悪いため、噛んだときに顎の関節に負担がかかりやすくなります。
そのため、良好な噛み合わせの人よりも顎関節症になるリスクが高いです。
顎関節症になると耳の下辺りに痛みが出たり、口が開かなくなったりします。
受け口を放置するリスク④|発音に障害が生じる可能性がある
程度にもよりますが、受け口の人は「サ行」や「タ行」の発音が不明瞭になりやすいです。
例えば、サ行は上下の歯を噛み合わせて空気を出すことで発音しますが、受け口で上下の前歯が噛み合わないと空気が漏れすぎてはっきりと発音できません。
タ行の場合は舌を上顎につけてから弾くようにして発音しますが、受け口の人は舌を上顎につけられないことが多く、上手く発音できないことがあります。
トレーニングで自力で受け口を治す際の注意点
トレーニングで自力で受け口を治す場合は、以下の点に注意しましょう。
- 割り箸やスプーンを使ったトレーニングは危険な場合がある
- トレーニングは確実に受け口を改善するものではない
受け口をトレーニングで治す注意点①|割り箸やスプーンを使ったトレーニングは危険な場合がある
インターネットでは、割り箸やスプーンを咥えて上の歯を外向きに誘導するトレーニングが紹介されていることがあります。
しかし、歯科医師の指導なしで自力で行うのは危険です。
歯や顎にダメージを受ける可能性があるので止めましょう。
受け口をトレーニングで治す注意点②|トレーニングで下顎が後ろに下がる保証はない
受け口の治療は、原因に応じて適切な治療法を選択する必要があります。
骨格や歯に問題を抱えている場合は、トレーニングだけで受け口を治すことができません。
自力で不確実なことをするよりは、歯医者で専門家のアドバイスや治療を受けるのがおすすめです。
トレーニングの効果がない受け口を治す方法
トレーニングで治せない骨格や歯の問題がある場合は、大人の場合は歯科矯正治療、子供の場合は小児歯科矯正で治す必要があります。
受け口をトレーニング以外で治す方法①|大人の受け口は歯科矯正治療で治す
大人の受け口を治す一般的な方法は、歯科矯正治療です。
矯正器具は大きく分けてワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つあり、治療目標やライフスタイルなどを考慮して選択します。
骨格的な問題がある重度症例の場合は、顎の骨を切る外科矯正治療が必要になることがあります。
受け口をトレーニング以外で治す方法②|子供の受け口は小児矯正治療で治す
子供の受け口は、小児歯科矯正治療を行って改善します。
子供は永久歯が生え揃っておらず、顎も成長段階にあります。
そのため、骨の成長を利用した上顎の成長促進、下顎の成長抑制、受け口になる悪癖の改善による受け口の予防・改善が可能です。
年齢や受け口の原因に応じて、以下の矯正装置を使い分けて改善を目指します。
- 3〜10歳頃→プレオルソ、T4K など
- 3〜8歳頃→ムーシールド
- 6〜8歳頃→リンガルアーチ、リップバンパー
- 7〜10歳頃→上顎前方牽引装置
- 7〜11歳頃→インビザラインファースト
- 11〜18歳頃→チンキャップ
ただし、小児歯科矯正治療は生える前の永久歯のコントロールができません。
また、下顎が成長する12〜16歳頃に再び受け口になる可能性があります。
小児歯科矯正治療が終わった後は、永久歯が生え揃って顎の成長が落ち着くまで経過観察を行い、必要に応じて永久歯の歯並びと噛み合わせのズレを治すことになります。
まとめ
受け口の原因には、遺伝的な要因、前歯が生えている向き、下顎の大きさ、舌の位置、口呼吸、癖があります。
このうち、舌の位置、口呼吸、癖は唇や舌のトレーニングやマッサージで改善できる可能性があります。
受け口で一般的に行われるトレーニングやマッサージには、以下のようなものがあります。
- 舌まわしトレーニング
- 唇を前に突き出すトレーニング
- 舌の位置改善トレーニング
- 受け口改善マッサージ
ただし、既に受け口になっている人はトレーニングだけで改善できないことが多いです。
受け口が気になる人は歯医者で相談するようにしましょう。
トレーニングを含め、効果的な治療法を提案してもらえます。
〈参考〉
下顎前突(受け口)は自力で治せるの?よくある原因と改善法を徹底解説!|西国分寺ひきの歯科|矯正歯科
原因について – 受け口 | ザ・ホワイトデンタルクリニック 歯医者・歯科
口呼吸が歯並びを悪くする!?子供からの癖が口ゴボの原因にもなりかねない理由や改善方法 | 【公式】キレイライン矯正|実績12万人のマウスピース矯正が大幅リニューアル
受け口を治すには?原因や治療方法を解説! | hanaravi歯科矯正blog
受け口とは?原因や治療(矯正・手術)、自力でできる治し方について | 輪郭形成・小顔整形 コラム
反対咬合の治療は下顎の成長発育を考慮(女の子編) album 247
あごが出てるのを引っ込めるには?受け口としゃくれの違いも解説
受け口改善の割り箸を使ったトレーニングのやり方は? – 湘南美容歯科コラム
小児のインビザライン矯正について(インビザライン・ファースト)(加筆修正)
最終閲覧日は記事更新日と同日
この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
矯正方法をチェック!