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2024/05/27
ダイレクトボンディングの寿命は10年後まで?|利点、欠点も解説!
目次
ダイレクトボンディングとは、歯に白いレジンのペーストを付ける処置のことです。
虫歯治療で空いた歯の穴や欠けたり折れたりして失った歯の修復、健康な歯にレジンのペーストを盛り付けて歯の大きさや形を変えるなど、様々な歯科治療に応用されています。
今回はダイレクトボンディングとは何か、どのような歯科治療に使われているのかを踏まえて、ダイレクトボンディングの寿命、費用、利点、欠点を徹底解説します。
ダイレクトボンディングとは
ダイレクトボンディングとは、白いレジンのペーストを歯に付けて歯の修復をしたり、歯の大きさや形の改善を行ったりする処置のことです。
ダイレクトボンディングに使用されるレジンには、保険適用のものと保険適用外のものがあります。
保険適用の治療で使われるのはレジン単体の「コンポジットレジン」、保険適用外の処置ではレジンとセラミックが配合された「ハイブリッドセラミック」が使われます。
ハイブリッドセラミックは、コンポジットレジンよりも審美性と耐久性に優れた素材です。
同じように歯の詰め物や修復をする場合でも、ダイレクトボンディングの方が仕上がりが綺麗で長持ちする傾向があります。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療の種類
ダイレクトボンディングは、以下のように様々な歯科治療に応用されています。
- すきっ歯(歯間空隙・空隙歯列)の改善
- 虫歯治療
- 欠けたり折れたりした歯の修復
- ホワイトスポットの改善
- ブラックトライアングルの改善
- 前歯の形の改善
- 歯の詰め物の色調改善
お口の状態によって異なりますが、ダイレクトボンディングを適応できれば短期間で歯科治療を終えることができます。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療①|すきっ歯(歯間空隙・空隙歯列)の改善
ダイレクトボンディングは、歯と歯の間に2mm以上の隙間が空いているすきっ歯の改善に用いられることがあります。
すきっ歯は矯正治療やセラミック治療でも治せますが、軽度のすきっ歯であればダイレクトボンディングで改善できる可能性があります。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療②|虫歯治療
ダイレクトボンディングは、虫歯治療で歯に空いた穴を埋める時にも適用されます。
比較的小さな虫歯や審美的な回復が重要視される前歯の虫歯治療で用いられることが多いです。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療③|欠けたり折れたりした歯の修復
歯ぎしりや不慮の事故で歯が欠けたり折れたりしたときに、ダイレクトボンディングで修復を行うことがあります。
歯ぎしりのひどい人はすぐに外れたり削れたりすることが多いので、適応には歯科医師の診断が必要です。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療④|ホワイトスポットの改善
ホワイトスポットによる歯の色むらが気になる場合は、ダイレクトボンディングを用いて改善することがあります。
ホワイトスポットとは、歯にできる斑点や縞模様などの白い模様です。
ダイレクトボンディングでホワイトスポットを改善する場合は、ホワイトスポットを薄く削り、コンポジットレジンやハイブリッドレジンを埋め込むことで歯の色味を整えます。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療⑤|ブラックトライアングルの改善
ブラックトライアングルとは、隣り合った歯の根本にできた三角形の隙間です。
歯周病や加齢により歯茎が下がることで発生しますが、矯正治療後にも発生することがあります。
ダイレクトボンディングで歯の根元にレジンを付けることで、ブラックトライアングルを埋めて目立たなくすることができます。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療⑥|前歯の形の改善
生まれつき歯が小さい矮小歯にダイレクトボンディングでコンポジットレジンやハイブリッドセラミックのペーストを盛り付け、歯の形を改善することができます。
ダイレクトボンディングに使われる素材の強度の問題から、基本的には前歯のみに適用されます。
ダイレクトボンディングでできる歯科治療⑦|歯の詰め物の色調改善
過去にした歯の詰め物の色が変色した場合、再度ダイレクトボンディングを行い、新しい詰め物に交換しすることで色調を改善できます。
歯の詰め物自体の変色以外にも、加齢による歯の変色などで詰め物と歯の色味が合わなくなることがあります。
このような場合も、ダイレクトボンディングならインレーや被せ物を交換するよりも素早く、歯をほとんど削らずに改善できます。
ダイレクトボンディング治療とコンポジットレジン治療の違い
ダイレクトボンディング治療とコンポジットレジン治療の違いは、詰め物や歯の修復に使用するレジンの素材です。
ダイレクトボンディングとは、歯にレジンをつける処置の総称です。
そのため、厳密に言うとレジンの素材に関係なく、歯にレジンのペーストを付ける処置をダイレクトボンディングと呼びます。
しかし、これでは使用する素材がハイブリッドレジンなのかコンポジットレジンなのかが分かりにくいため、歯科医院では保険適用外の治療をダイレクトボンディング治療、保険適用の治療をコンポジットレジン治療と分けて呼ぶことが多いようです。
ダイレクトボンディングの寿命
ダイレクトボンディングの寿命は、以下の通りです。
- 保険適用外のハイブリッドセラミック→短くて4〜6年、長くて10年前後
- 保険適用のコンポジットレジン→約2〜3年
ハイブリッドレジンはセラミックが含まれているため審美性と強度が高く、コンポジットレジンよりも倍くらい長持ちする傾向があります。
コンポジットレジン、ハイブリッドレジンのどちらも、経年劣化によって変色したり擦り減ったり、欠けたりするため寿命はあります。
ダイレクトボンディング治療の寿命は患者の口内環境、食生活、セルフケアやメンテナンスの状況などによって変わります。
メンテナンスやセルフケアを怠ると、ダイレクトボンディングの寿命は短くなるので注意が必要です。
ダイレクトボンディングの費用
ダイレクトボンディングの費用は保険適用外のハイブリッドセラミックを使った場合、歯1本あたり1〜5万円が目安です。
虫歯のように病名がついており、保険適用のコンポジットレジンでダイレクトボンディングを行う場合は、歯1本1,500円ほどで治療できます。
しかし、すきっ歯の改善、前歯の形を変えるような審美を目的とした治療、ハイブリッドレジンを用いた虫歯治療は保険適用外となり、1〜5万円ほどの治療費がかかります。
ただし、保険適用の可否は歯科医院によって異なる場合があるため、保険適用となるかは歯科医師の診断が必要です。
歯科医師の診断で、保険適用の病名をつけて治療した場合は、保険適用の費用になります。
いずれにせよ、各歯科医院、各歯科医師によって方針が異なります。
ダイレクトボンディング6つの利点
ダイレクトボンディングには、以下のような利点があります。
- 歯を削る量が最小限で済む
- 天然歯に近い風合いを再現できる
- 通院回数が1〜2日で済む
- 審美治療の中では低コスト
- 修理がしやすい
- 金属アレルギーの心配がない
ダイレクトボンディングの利点①|歯を削る量が最小限で済む
ダイレクトボンディングは歯を削る量を最小限に抑えることができます。
セラミック・金属の被せ物やインレーは、耐久性のある厚みにするために歯を多めに削らなくてはいけない場合があります。
歯を大きく削るほど歯の寿命は短くなる可能性があります。
歯を削る量を最小限にできることはダイレクトボンディングの大きな利点でしょう。
ダイレクトボンディングの利点②|天然歯に近い風合いを再現できる
ダイレクトボンディングは、色や透明感の違うレジンの中から自分の歯に近い色を選ぶことができるため、天然歯に近い風合いを再現できます。
セラミックと比べて経年劣化による変色は起こりやすいですが、歯が健康であれば色味が気になった時に再度ダイレクトボンディングを行って審美性を回復することも可能です。
ダイレクトボンディングの利点③|通院回数が1〜2回で済む
ダイレクトボンディングは、ペースト状のレジンを歯に直接盛り付けて歯の形を作ることができます。
そのため、歯型をとって詰め物が出来上がるまで待つ必要がなく、通院回数は1〜2回で済みます。
治療する歯の本数が1本であれば、1回で完了することがほとんどです。
ダイレクトボンディングの利点④|審美治療の中では低コスト
審美治療の代表格であるセラミック治療や歯科矯正治療に比べると、ダイレクトボンディングは1本あたりの費用を抑えられることが多いです。
ダイレクトボンディングは、保険適用外のハイブリッドセラミックを使った場合、1本あたり1〜5万円です。
一方、セラミック治療の費用は1本あたり10〜15万円ほど、大人の矯正費用は60〜150万円ほどです。
これらと比べると、ダイレクトボンディングは審美治療の中では低コストの治療だと言えます。
ただし、すきっ歯の治療をする場合はダイレクトボンディングの寿命による再治療、修理、メンテナンスにかかる費用を考えると、矯正治療の方がトータルコストが安く済む可能性があります。
ダイレクトボンディングの利点⑤|取れたり欠けたりした時に修理しやすい
ダイレクトボンディングは取れたり欠けたりした部分に付け足すことができるので、簡単に修理できることが多いです。
セラミック治療は、被せ物が欠けたり変色したりした場合は丸ごと交換する必要があります。
そのため、部分的に修理できるダイレクトボンディングの方がリカバリーはしやすいです。
ダイレクトボンディングの利点⑥|金属アレルギーの心配がない
ダイレクトボンディングに使われるコンポジットレジンやハイブリッドセラミックには金属が含まれません。
そのため、金属アレルギーを発症するリスクがありません。
歯科治療で使われる金属は、長い時間をかけて金属イオンとなって口内に溶け出します。
これが原因で何年か後になってから金属アレルギーを発症することがあるため、注意が必要です。
ダイレクトボンディングの5つの欠点
ダイレクトボンディングは多くの利点がある一方で、素材の劣化のしやすさや強度の面で以下のような欠点も存在します。
利点だけでなく欠点も考慮して治療方法を選びましょう。
- 経年劣化がある
- 劣化して後悔しないためにはメンテナンスが必要
- 虫歯になるリスクが天然歯よりも高い
- 取れたり欠けたりする可能性がある
- 適応症例が限られる
- 歯と詰め物の繋ぎ目の部分に着色しやすい。
ダイレクトボンディングの欠点①|経年劣化がある
保険適用のレジンも保険適用外のレジンもプラスチックを含むため、経年劣化があります。
噛み合わせによって削れて変形する、変色したり艶がなくなったりして審美性が失われるなど、このようなことが気になったら寿命のサインです。
歯科医院で相談し、再度ダイレクトボンディングを行う、セラミック治療を検討するなどして対処しましょう。
ダイレクトボンディングの欠点②|劣化を防ぐにはメンテナンスが必要
ダイレクトボンディングをした部分は、時間の経過とともに変色していきます。
変色を防ぐには、白い歯を保つのと同じように歯医者で定期的なメンテナンスを受ける必要があります。メンテナンスで歯面研磨することで、着色による変色が改善することがあります。
どんなにメンテナンスを頑張っても劣化による寿命は避けられないことが多いですが、劣化のスピードを遅くできる可能性があります。
長持ちさせるためにも、定期的にメンテナンスを受けましょう。
ダイレクトボンディングの欠点③|虫歯になるリスクが天然歯よりも高い
レジンやハイブリッドレジンを付けたところと歯の境目は、虫歯菌が侵入しやすい部位です。
そのため、ダイレクトボンディングを行っていない天然歯と比べて、虫歯になるリスクが高くなってしまいます。
セルフケアをきちんと行い、定期検診をきちんと受けるようにしましょう。
ダイレクトボンディングの欠点④|取れたり欠けたりすることがある
噛み合わせたときの力や外傷で強い力が加わると、歯につけたレジンが取れたり欠けたりすることがあります。
また、フロスを強く引き抜くと破損しやすいです。
ダイレクトボンディングの場合は修理がしやすいのでそこまで大きな負担は発生しませんが、歯の状態によっては被せ物やインレーに変えなくてはいけない場合があります。
ダイレクトボンディングの欠点⑤|適応症例が限られる
ダイレクトボンディングは、強度の問題から広範囲の歯の修復が必要な治療には向いていません。
歯の形を変えるような広範囲の修復は、基本的に前歯だけに用いられます。
ダイレクトボンディングに使われるハイブリッドレジンにはプラスティックが含まれているため、セラミック治療で使われる被せ物やインレーよりも耐久性や強度が劣ります。
噛んだときに大きな負荷が掛かる奥歯の形を変えるような治療には、適応できないことが多いので、歯科医院でよく相談しましょう。
まとめ
ダイレクトボンディングとは、白いレジンのペーストで歯の修復、歯の大きさや形の改善を行う処置のことです。
ダイレクトボンディングの寿命は、保険適用外のハイブリッドセラミックで4〜10年前後、保険適用のコンポジットレジンは約2〜3年です。
寿命がきた場合は再度ダイレクトボンディングを行う、セラミック治療を検討するなどして対処する必要があります。
そのため、すきっ歯の改善のためにダイレクトボンディングをお考えの場合は、治療後の手入れがしやすく快適で、レジンの寿命、変色や劣化を気にする必要のない矯正治療の方が満足度が高いかもしれません、
どの治療方法がベストかは歯科医師とよく相談し、コンポジットレジンの利点と欠点を踏まえて選びましょう。
〈参考〉
ダイレクトボンディングの費用は?保険適用できるの?寿命や欠点についても解説
ダイレクトボンディング(ダイレクトレジン) | 五十嵐歯科室
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この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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