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2024/04/23
マイクロスコープとは?歯科治療の種類、メリット、デメリット、価格、保険適用できるのか解説!
目次
「マイクロスコープを使った最先端の歯科治療がある」
こんなことを聞いたことはありませんか?
マイクロスコープとは手術用顕微鏡のことで、歯科治療の精度を上げるために活用されている機械です。
今回は、マイクロスコープを使った歯科治療とは何か、マイクロスコープでできる歯科治療の種類、メリット、デメリット、治療費用、保険適用で治療できるのかを詳しく解説します!
マイクロスコープを使った歯科治療とは?
マイクロスコープを使った歯科治療とは、患部を肉眼の4〜20倍に拡大して行う歯科治療のことです。
患部を肉眼では見えないほど細かなところまで拡大して処置するため、通常よりも精密な治療を行うことができます。
治療の精度を上げることは、被せ物と歯の堺目を少なくして2次的な虫歯が起こりにくいようにしたり病気の再発を防いだりするなど、治療後の歯を良好な状態でキープすることに繋がります。
マクロスコープでできる歯科治療の種類
マイクロスコープは、歯科治療のほとんどの分野で活用することができます。
特に以下の歯科治療は、治療精度の向上と再発防止のためにマイクロスコープが活用されることが多いです。
- 根管治療(歯の根の治療)
- 虫歯治療
- 歯周病治療
- 外科治療
- 審美歯科治療
- 歯のヒビの確認
どのようにマイクロスコープを活用するのか解説します。
マイクロスコープを活用する歯科治療①|根管治療
根管治療とは、歯の根の治療のことです。
歯の根には中央に1mmにも満たないくらいの細い管があり、中には歯の神経や血管が詰まっています。
根管治療では、歯の根の1mmにも満たない管の中を細部まで確認するためにマイクロスコープが活用されます。
根管治療では、歯の根の管をどのくらい綺麗にできるかが治療後の歯の寿命に影響します。
マイクロスコープを使うと肉眼では確認できないところまで歯の根の管を綺麗にできるため、治療後の再発率を下げて歯を長持ちさせることができます。
肉眼では根管内はほとんど見えませんが、マイクロスコープを用いることで、根管内に光を通すことができ、さらに20倍に拡大した視野の中で、治療を行うことができるため、治療の成功率が上昇します。
マイクロスコープを活用する歯科治療②|虫歯治療
虫歯治療では肉眼では確認できないほど小さな虫歯を発見したり、健全な歯質を最大限残したりするためにマイクロスコープが活用されています。
また、虫歯を削ったあとの歯の修復作業でもマイクロスコープを使うことで、天然の歯と詰め物・被せ物との境目を最小限に抑えることができます。
天然の歯と詰め物・被せ物の堺目の段差が大きいほど、2次的な虫歯のリスクは高くなります。また境目が滑らかなほど、歯周病菌が停滞しにくいため歯周病リスクも軽減します。
虫歯治療にマイクロスコープを使うことは、2次的な虫歯のリスクや歯周病進行を下げて歯の寿命を伸ばすことに繋がるでしょう。
マイクロスコープを活用する歯科治療③|歯周病治療
マイクロスコープを歯周病治療でも活用することで細部をよく観察できるようになるため、歯石や汚れの取り残しを最小限に抑えられるようになります。
歯周病治療で大切なのは、歯と歯茎の堺目や歯周ポケットの中にある歯石や汚れを綺麗に除去することです。
歯石除去には専用の器具を使いますが、マイクロスコープを用いることで器具を必要な部分に正確に当てて、歯石を落とせるようになります。
また、器具を必要なところに正確に当てることで、治療中の痛みや出血も最小限に抑えることもできます。
マイクロスコープを活用する歯科治療④|外科治療
歯肉移植のような外科治療を行う際も、マイクロスコープを用いることでより精密な処置ができるようになります。
外科治療で処置の精度が上がると、患部の侵襲を最小限に抑えることができます。
マイクロスコープを活用する歯科治療⑤|審美歯科治療
審美歯科治療は、治療の高い精度と美しい仕上がりが求められる治療です。
特にセラミック治療のような被せ物をする治療では、歯の色調や形態を細かく調整するのにマイクロスコープが活躍します。
マイクロスコープを使うと被せ物と歯の境目に段差や接着用セメントの取り残しをミクロレベルで確認できるため、仕上がりも美しいです。
マイクロスコープを活用する歯科治療⑥|歯のヒビの確認
マイクロスコープで歯を見ると、細かい歯のヒビ(亀裂・クラック)の発見が可能です。
歯には肉眼では確認できないほどのヒビが入ることがあり、ヒビが深くなると歯が割れてしまう可能性があります。
歯が割れる前にヒビをマイクロスコープで確認しておくと、早期に適切な対処ができるようになるのです。
例えば、ヒビ部分にMTAセメントやスーパーボンドを流しておくことで歯の破折を予防できます。
マイクロスコープを歯科治療で使う3つのメリット
マイクロスコープを歯科で使うメリットは、以下の3つです。
- 精密な治療ができる
- 歯の寿命を伸ばすことに繋がる
- 治療の経過を確認・記録できる
一つずつ解説します。
マイクロスコープを歯科治療に使うメリット①|精密な治療ができる
マイクロスコープを使うと患部を肉眼の4〜20倍に拡大して治療ができるので、より治療の精度を高めることができます。
肉眼では細部の確認が難しくて術者の勘や経験に頼っていた部分を把握できるようになるのが最大のメリットです。
マイクロスコープを歯科治療で使うメリット②|歯の寿命を伸ばすことができる
マイクロスコープを使うと、細部まで確認して正確な診断ができるようになります。
そのため、歯の状態によってはマイクロスコープを使った治療なら歯の神経や抜歯と診断された歯を温存できるなど、歯の寿命を伸ばせる可能性があります。
マイクロスコープを歯科治療に使うメリット③|治療の経過を確認・記録できる
マイクロスコープにはカメラが搭載されているため、治療経過をモニターで確認しながら治療を受けられます。
また、必要に応じて録画もできるので、術前・術中・術後の記録を見て自分の歯の変化を確認することもできます。
マイクロスコープを歯科治療で使う2つのデメリット
マイクロスコープを歯科治療に使うデメリット①|1回の治療時間が長い
マイクロスコープを使った歯科治療では、患部を拡大して一つひとつのステップを確実に行う必要があります。
そのため、1回の治療時間は長くなる傾向があります。
丁寧に治療してもらえる代わりに治療時間をしっかり確保する必要があるため、忙しい方は予約の調整が大変だと感じることがあります。
マイクロスコープを歯科治療に使うデメリット②|費用が高くなる可能性がある
マイクロスコープを使った治療には時間とコストがかかるため保険適用外となり、保険適用の治療よりも費用が高くなる可能性があります。
また、治療中の動画撮影をお願いする場合は別途費用がかかることがあり、追加で費用を支払わなくてはいけない場合もあります。
保険適用になる?マイクロスコープ歯科治療の価格
マイクロスコープを使った歯科治療は保険適用外となることが多いですが、一部のケースでは保険適用になる場合があります。
詳しく解説します。
マイクロスコープを使った歯科治療は保険適用外のことが多い
マイクロスコープを使った歯科治療は、一部のケースを除いて保険適用外となることが多いです。
マイクロスコープは虫歯治療から審美歯科治療にまで幅広く活用できる機材です。
そのため、保険適用外でマイクロスコープを使った歯科治療を受ける場合の費用は、治療内容によって異なります。
歯科医院の方針によっては保険適用の治療にもマイクロスコープを使う場合もあります。
しかし、基本的には保険適用外で数万円〜数十万円以上の治療費がかかると考えた方がいいでしょう。
マイクロスコープを使った歯科治療が保険適用外になることが多い理由は、
- 保険適用の歯科治療にマイクロスコープを使う場合、保険で請求できる費用は一部のケースを除いて0円。
- マイクロスコープを使った歯科治療には通常よりも時間とコストがかかる。
ということが挙げられます。
マイクロスコープの歯科治療が保険適用外の理由①|マイクロスコープの保険点数は0円だから
保険適用の歯科治療には、処置一つひとつに細かく保険点数(=治療費)が割り振られています。
例えば虫歯治療をした場合「歯を削ったら保険点数◯◯点」「詰め物を詰めたら◯◯点」のように治療完了までの工程に細かく保険点数が割り振られており、その合計が虫歯治療完了までにかかる費用となります。
では、歯科治療でマイクロスコープを使うために加算される保険点数は何点なのでしょうか?
答えは0点、つまり0円です。(※)
実は、一部のケースを除いてマイクロスコープの使用に関する保険点数の割り振りはありません。
保険点数の割り振りがないということは、保険適用の歯科治療にマイクロスコープを使っても報酬は0円ということになります。
マイクロスコープは安い機材ではありません。
導入コストも加味すると、0円でマイクロスコープを使った歯科治療を保険診療で提供するのは難しいという側面があります。
※手術用顕微鏡加算の対象となる一部のケースを除きます。
マイクロスコープの歯科治療が保険適用外の理由②|マイクロスコープを使った歯科治療には時間とコストがかかるから
仮にマイクロスコープを保険診療で使う場合、問題になるのがマイクロスコープを使った歯科治療には時間とコストがかかることです。
時間とコストのかかるマイクロスコープでの歯科治療を保険適用で行うのは、歯科医院の経営面で厳しいことが予想されます。
そのため、歯科医院では通常よりもグレードの高い治療を提供できるという理由から、マイクロスコープを使った歯科治療は保険適用外としていることが多いようです。
マイクロスコープの歯科治療が保険適用になるケース
マイクロスコープを使った歯科治療で保険適用になるのは、CT撮影を伴う歯の根の治療(根管治療)です。
2020年より歯の根が3本以上の歯の根管治療の際に、CT撮影とマイクロスコープの使用をセットで行った場合に「手術用顕微鏡加算」として治療費を請求できることになりました。
これにより、根管治療の一部のケースでは保険適用にてマイクロスコープを使った根管治療を受けることができます。(※1)
手術用顕微鏡とは、マイクロスコープのことです。
保険適用外、保険適用にて歯の根が3本以上の根管治療を行った場合の費用目安は、以下の通りです。
【見出し】歯の根が3本以上の根管治療にかかる費用の目安 | |
保険適用(マイクロスコープなしの場合) | 約2,800円(※2) |
保険適用(マイクロスコープありの場合) | 約4,000円(※2) |
保険適用外(自費診療) | 約10〜100万円 |
手術用顕微鏡加算の保険点数は400点なので、保険適用で行うマイクロスコープを使わない根管治療よりも患者さんの負担額は少し増えることになります。
しかし、保険適用外でマイクロスコープを使った根管治療を受けるよりは、費用負担が少なくなるでしょう。
※1:厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で所定の治療を行った場合に限ります。
※2:健康保険3割負担の場合。別途レントゲン撮影、薬剤、根管充填、被せ物などをするための費用がかかります。また、保険適用でも症例によって費用は変わります。
マイクロスコープを使った歯科治療の普及率
日本でマイクロスコープを導入している歯科医院は、5〜10%と言われています。
導入コストに200〜1,000万円ほどの費用がかかり、マイクロスコープを使った治療を行うには技術力と時間が必要なため、簡単に扱える機械ではないことが理由です。
保険点数の見直しもあり、今後は普及率が上がると予想されていますが、マイクロスコープの普及率は低いのが現状です。
しかし、マイクロスコープの歯科治療への有効性はアメリカを始め、日本でも認められています。
自分の歯と口の健康を長い目で見て、マイクロスコープを使った歯科治療を選択するのはプラスになるでしょう。
まとめ
マイクロスコープは、患部を肉眼の4〜20倍にまで拡大して治療を行うための機械です。
根管治療を始め、虫歯治療、歯周病治療、外科治療、審美歯科治療など、歯科の幅広い分野で活用されています。
マイクロスコープを使うと精度の高い治療が受けられるので、治療後の歯を良い状態でキープしやすくなります。
将来の口の健康を考えてよりレベルの高い治療を受けたい方は、マイクロスコープを扱っている歯科医院で相談してみましょう。
<参考>
マイクロスコープを使った治療 | 青山の歯医者 マイクロデンタル|港区南青山|青山一丁目・外苑前
マイクロスコープ精密根管治療|あべ歯科医院|調布市つつじヶ丘
マイクロスコープ治療 〜メリット・デメリット〜 | 台東区御徒町の歯医者「ビーノ御徒町歯科クリニック」です。
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この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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