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2023/11/24
歯列矯正をやめたほうがいい理由|やめたほうがいい大人・子供の特徴、失敗例を解説
目次
歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを改善できる治療方法です。
以下のようなメリットがあり、口と身体の健康のために意味のある治療です。
- 歯並びが綺麗になって自信を持てるようになった
- 噛み合わせが整ってしっかりと噛めるようになった
- 歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが下がった
- 横顔が綺麗に見える気がする など
しかし、メリットがある一方で、大人か子供かに拘らず「歯列矯正はやめたほうがいい」という意見もあります。
それはなぜなのでしょうか?
今回は、歯列矯正はやめたほうがいいと言われる理由、歯列矯正をやめたほうがいい人の特徴、失敗例、失敗しないための対策についてお話しします!
歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由
歯列矯正は、大人や子供に拘らず「やめたほうがいい」と言われることがあります。
歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由を大人と子供に分けてみていきましょう。
大人が歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由
大人が歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由には、以下の2つが挙げられます。
- リスクをとってまで治療する必要はないと感じるから
- 費用対効果が少ないと感じるから
大人が歯列矯正をやめたほうがいい理由①|リスクをとってまで治療する必要がないと感じるから
歯列矯正には、ある程度のリスクがあります。
そのため、リスクをとってまで治療する必要がないと感じる人、実際に歯列矯正でリスクに該当する症状が起こって後悔した人は、歯列矯正はやめたほうがいいと考えるようです。
大人の矯正治療には、以下のようなリスクがあります。
- 歯肉退縮(歯茎が下がること)
- 歯根吸 収(歯の根が短くなること)
- 歯を動かす痛みの発生
- 矯正中の虫歯・歯周病リスクの上昇 など
これらのリスクは程度によりますが、いずれも歯の健康や見た目の美しさを害する可能性があります。
しかし、歯並びや噛み合わせが悪いままだと虫歯や歯周病のリスクは高く、歯並びと噛み合わせがいい人と比べて将来的に歯を失うリスクが高いです。
適切な治療計画で避けられるリスクもあるので、将来的な口の健康を考えるならば歯列矯正はしておくのがおすすめです。
大人が歯列矯正をやめたほうがいい理由②|費用対効果が少ないと感じるから
歯列矯正の治療は基本的に自費診療となり、治療が終わるまでに1〜3年ほどの時間がかかります。
高額な費用と時間をかけて得られるメリットが少ないと感じる人は、歯列矯正はしないほうがいいと考えるようです。
また、治療後に費用と時間をかけた割に納得のいく結果が得られなかったと感じる場合も、やめたほうがよかったと後悔することがあります。
子供が歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由
子供が歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由には、以下の2つが挙げられます。
- 歯磨きや矯正装置の管理が大変だから
- 永久歯が生えた後に再び矯正する必要がある場合もあるから
子供が歯列矯正をやめたほうがいい理由①|歯磨きや矯正装置の管理が大変だから
子供の歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由に、歯磨きや矯正装置の管理が大変であることが挙げられます。
子供が歯列矯正をする時は、大人と同じようにマウスピースやワイヤーなどの矯正装置を歯につける必要があります。
このときに問題になるのが、子供は歯磨きや矯正装置の管理を大人のようにひとりで十分にできないことです。
歯磨きが十分にできないと虫歯のリスクは高くなります。また、矯正装置の管理ができないと治療が計画通りに進みません。
そのため、子供が歯列矯正をする際は、保護者が以下のような手助けや管理を行う必要があります。
- 十分に歯磨きができない年齢であれば、保護者の仕上げ磨き
- つけ外しできる矯正装置の場合は、装着時間の管理や矯正装置の清掃
- そのほか、歯科医師からの指示の遂行
これらの管理が大変で保護者のモチベーションが維持できないと、「思っていたよりも大変、子供の歯列矯正はやめたほうがいい」と思ってしまうことがあるのです。
子供が歯列矯正をやめたほうがいい理由②|永久歯が生えた後に再び矯正する必要があるから
子供の歯列矯正と大人の歯列矯正には、以下のような治療目標の違いがあります。
- 大人の歯列矯正→永久歯の歯並びと噛み合わせを整える
- 子供の歯列矯正→成長期を利用して、顎の拡大や成長促進を行い永久歯列のベースを作る
子供のうちに骨の中の永久歯をコントロールすることはできないため、子どもの矯正治療で永久歯がしっかり並ぶよう治療を行っていても、より理想的な歯並びにするために成人矯正をする場合もあります
このことを理解しておかないと「子供の歯列矯正はやっても意味がないからやめたほうがいい」と考えてしまいます。
しかし、子供の歯列矯正で永久歯列のベースを作っておくと、
- 永久歯が生えた後の治療期間が何もしないときと比べて短くなる
- 抜歯や外科矯正などの負担の大きい治療をする可能性を少なくできる
などのメリットが得られます。
仕上げの矯正が必要になる可能性を理解した上でメリットを考慮すると、子供の歯列矯正はやっておくほうがいいでしょう。
やめたほうがいい?歯列矯正の失敗例7つ
歯列矯正をやめたほうがいいと言われるのは、実際に以下のような歯列矯正の失敗や後悔のエピソードがあるからです。
- 治療期間が思ったより長い
- 治療効果を実感できなかった
- 思っていたより痛かった
- 噛み合わせが悪くなった
- 虫歯や歯周病になった
- ブサイクになった気がする
- 後戻りした
代表的な歯列矯正の失敗例7つを解説します。
歯列矯正の失敗例①|治療期間が思ったより長い
歯列矯正は、全て計画通りに進んだとしても1〜3年ほどの時間がかかるのが一般的です。
- 予定通りに通院できない
- 歯科医師の指示通りに矯正装置を使えない など
このように計画通りに治療が進まない要因があると、治療期間が想定していたものよりも長くなって失敗したと感じる場合があります。
歯列矯正の失敗例②|治療効果を実感できなかった
治療した後の歯並びが自分の理想と異なると、長年かけて治療を頑張ったけど治療の成果が出ずに失敗したと感じることがあります。
- 治療計画を立てる時に歯科医師と自分のイメージの擦り合わせができていない
- マウスピースの着用やゴム掛けなど、治療に関するルールを守れない
このようなことが原因で起こりやすいので、治療前に治療目標のイメージの擦り合わせをしっかりと行いましょう。
治療中に理想と違うなどの疑問があれば相談し、治療に関するルールはしっかりと守りましょう。
歯列矯正の失敗例③|思っていたより痛かった
痛みの程度は使用する矯正装置や個人の痛みの感じ方によって異なりますが、歯を動かす時には基本的に痛みを感じます。
そのため、予想よりも痛みが強いとモチベーションが下がってしまい「やらなければよかった」と感じることがあるようです。
そのほか、
- ワイヤーの先や装置の角が舌や唇に当たる痛み
- 矯正装置がついている違和感で寝苦しい など
このような不快な思いをして、歯列矯正をしなければよかったと思う人もいます。
歯列矯正の失敗例④|噛み合わせが悪くなった
見た目を重視しすぎるなど、不適切な治療計画によって噛み合わせが悪くなって後悔することがあります。
通常は噛み合わせを考慮して治療計画を立てるので心配はいりません。
治療の過程で一時的に噛み合わせが悪くなることはあるので、気になった場合は担当の歯科医師に相談しましょう。
歯列矯正の失敗例⑤|虫歯や歯周病になった
歯列矯正中は、歯に装置がつくことで虫歯や歯周病になるリスクが上がります。
セルフケアを怠ると虫歯や歯周病になってしまい後悔することがあるので、気をつけましょう。
歯列矯正の失敗例⑥|ブサイクになった気がする
- 中顔面が伸びた
- 顔がたるんだ
- ほうれい線が目立つようになった など
歯列矯正をすると、歯とともに口元が下がってこのような変化が現れることがあります。
これにより顔の印象が変わって「ブサイクになった。歯列矯正なんてしなければよかった」と感じることがあります。
美しさやブサイクの基準、好みは人それぞれです。そのため、自分の好みではない方向に顔の印象が変化するとこのように感じることが多いようです。
歯列矯正の失敗例⑦|後戻りした
歯列矯正が終わった後は、歯並びを保つために保定装置を使わなくてはいけません。
保定装置を歯科医師の指示通りに使用できないと、歯並びが乱れて後悔することがあります。
矯正治療後に歯が元の位置に戻ろうとすることを「後戻り」と言います。歯列矯正にかけた時間と費用を無駄にしないよう、保定装置はきちんと使いましょう。
歯列矯正をやめたほうがいい人の9つの特徴
歯列矯正をやめたほうがいい人は、以下のような人です。
- 歯磨きが十分にできない人
- 虫歯や歯周病に罹っている人
- 痛みに耐えられないと感じる人
- 定期的に通院できない人
- 数年以内に引越しの予定がある人
- 早く歯並びを綺麗にしたい人
- 費用を調達する見通しが立たない人
- 治療に協力できない人
- 顎関節症を治したいと考えている人
特徴を一つずつ解説します。
歯列矯正をやめたほうがいい人①|歯磨きが十分にできない人
歯列矯正中は装置が歯につくことで歯磨きが難しくなったり、いつもよりもこまめに歯磨きをする必要があったりします。
歯磨きが十分にできないと虫歯や歯周病になるため、こまめなケアができないと感じる人は歯列矯正をしないほうがいいでしょう。
歯列矯正をやめたほうがいい人②|虫歯や歯周病に罹っている人
虫歯や歯周病に罹っている人はそちらの治療が優先されるため、治療が完了するまでは歯列矯正ができません。
ただし、虫歯や歯周病の進行状態や歯科医師の判断によっては、同時進行できる場合もあります。カウンセリングの際に確認してみましょう。
歯列矯正をやめたほうがいい人③|痛みに耐えられないと感じる人
歯列矯正中は、歯を動かす痛みや矯正装置が舌や唇に当たる痛みを感じます。
通常は、歯を動かす痛みのピークは2〜3日です。歯並びが整ってくると矯正装置が当たる痛みも起こりにくくなります。
しかし、痛みに弱くて耐えられないと感じる人は歯列矯正をしないほうがいいでしょう。
歯列矯正をやめたほうがいい人④|定期的に通院できない人
計画通りに歯列矯正を行うには、歯科医師の指示通りに通院する必要があります。
仕事や部活が忙しいなどの理由で通院する時間を確保できない場合は、歯列矯正を見送ったほうがいい場合もあるでしょう。
通院頻度を減らして行える治療法はないか、歯科医師に相談してみてください。
歯列矯正をやめたほうがいい人⑤|数年以内に引越しの予定がある人
歯列矯正には1〜3年ほどの時間がかかります。数年以内に引越しの予定がある人は、歯列矯正を始めるタイミングを考慮したほうがいいでしょう。
転勤などで頻繁に引越しがある人は、治療の前に引越しの可能性があることを伝えましょう。また、転院する際の対応や費用を事前に確認しておくと安心です。
歯列矯正をやめたほうがいい人⑥|早く歯並びを綺麗にしたい人
治療期間の短縮を優先して早く歯並びを綺麗にしたい人は、セラミック治療のような歯を動かさない治療方法を検討することも一つの方法でしょう
歯列矯正には年単位の時間がかかりますが、セラミック治療なら2ヶ月〜数ヶ月のうちに治療が終了します。
歯列矯正をやめたほうがいい人⑦|費用を調達する見通しが立たない人
歯列矯正は基本的に自費診療です。そのため、カウンセリングで提示された治療費用を用意する見通しが立たない人は、すぐに歯列矯正を始めないほうがいいでしょう。
歯科医院によっては医療ローン、クレジットカードなどの分割払いができることもあります。
しかし、月々の返済ができずに費用が払えないと治療を中断することになるため気を付けましょう。
歯列矯正をやめたほうがいい人⑧|治療に協力できない人
治療を計画通りに進めるには、通院のタイミング、ゴム掛け、マウスピースの装着時間など、歯科医師の指示を守る必要があります。
治療に協力できない人は、歯列矯正をしても失敗する確率が高いので見送りましょう。
特に子供の矯正の場合は、保護者が歯列矯正をさせたいと思っていても本人が治療の意味や必要性を理解しておらず、治療に協力的でない場合は失敗しやすいです。
歯列矯正をやめたほうがいい人⑨|顎関節症を治したいと考えている人
顎関節症の症状を治すために歯列矯正を考えている人は、歯列矯正以外の顎関節症の治療を優先しましょう。
顎関節症とは、顎の関節周りの筋肉や骨などの異常によって口が開かなくなったり、口を開ける時に音がなったりすることです。
顎関節症は噛み合わせが原因になっていることもあり、改善のために歯列矯正を考える人もいます。
しかし、噛み合わせだけが顎関節症の原因ではないため、確実に歯列矯正で治る訳ではありません。
顎関節症の治療は主に歯科、口腔外科で行います。歯列矯正だけしても悪化する可能性があるため、顎関節症の症状がある人は先に歯科か口腔外科を受診しましょう。
歯列矯正で失敗しないための対策方法
歯列矯正で失敗したくない人は、以下のことを心がけましょう。
- どんな治療法があるか知っておく
- 治療目的を明確にする
- 実績豊富な歯科医師の下で治療する
歯列矯正で失敗しない方法①|どんな治療法があるか知っておく
歯列矯正には大きく分けてワイヤー矯正、マウスピース矯正の2つの装置を使います。
さらに、症例や治療目標に応じて抜歯、外科手術、IPR(※)などの処置の有無、それぞれの治療のリスクなどが異なり、治療の選択肢は様々です。
治療法を自分で調べ尽くすのは難しいので、歯科医院でカウンセリングを受けて自分にはどのような治療法があるのか、理想を叶えるためにどこまでのリスクを許容できるのかを知りましょう。
※IPR:歯の側面を薄く削り、歯を並べるスペースを作ること。
歯列矯正で失敗しない方法②|治療目的を明確にする
失敗しないためには、歯科医師とのカウンセリングの際に自分の理想の歯並びを擦り合わせて、治療の目標を明確にしておくことが大切です。
歯列矯正では、カウンセリングや治療計画の作成を経て治療契約を結びます。カウンセリングに行く前にある程度、歯列矯正を受ける目的を整理しておきましょう。
あなたが歯列矯正しようと思ったきっかけ、治したいと感じているポイントが治療目標のベースとなります。
歯列矯正で失敗しない方法③|実績豊富な歯科医師の下で治療する
歯列矯正は、実績豊富な歯科医師の下で治療を受けましょう。経験が多いほうが治療計画を実現できる可能性が高く、予期せぬトラブルにも対応できるでしょう。
実績や経験の指標の一つとして、日本矯正歯科学会の認定医であるかどうかを確認してみるのもおすすめです。
認定医は日本矯正歯科学会のHP(https://www.jos.gr.jp/roster)から確認できます。
まとめ
大人と子供の歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由は異なり、以下のような理由があります。
【大人が歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由】
- リスクをとってまで治療する必要はないと感じるから
- 費用対効果が少ないと感じるから
【子供が歯列矯正をやめたほうがいいと言われる理由】
- 歯磨きや矯正装置の管理が大変だから
- 永久歯が生えた後に再び矯正する必要があるから
しかし、歯列矯正には見た目に自信を持てるようになったり、虫歯や歯周病のリスクを下げて歯の健康を守ったりできるメリットがあります。
- どんな治療法があるか知っておく
- 治療目的を明確にする
- 実績豊富な歯科医師の下で治療する
このようなことを意識して歯科医院を選び、後悔のない歯列矯正を行いましょう。
<参考>
がん予防メディカルクラブ「まもーる」|プリベントメディカル株式会社
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この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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