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2024/10/07
歯の生え変わりが早い原因と影響|注意点、発達障害、身長、早熟、生理との関係も解説!
目次
歯の生え変わりの時期は、乳歯が抜けて永久歯に変わるだけでなく、子どもの顎の発育にも関わる大事な時期です。
しかし、歯の生え変わりの時期は個人差があるため、何歳から始まるのが正しいのかと考える方は多いでしょう。
特に歯の生え変わりが早い子は、同年代の子どもの歯が生え変わっていないこともあり、「みんなより生え変わりが早くて本当に大丈夫なの?!」と不安になる方が多いのではないでしょうか…?
今回は、歯の生え変わりが早い3つの原因とその影響について詳しく解説します。
子どもの歯の生え変わりサイクル、生え変わりの時期に気を付けたいポイント、発達障害、身長、早熟、生理との関係についても解説しますので、参考にしてください!
歯の生え変わりが早い3つの原因
歯の生え変わりが早い原因は、以下の3つです。
- 個人差によるもの
- 顎や歯の成長が早い
- 低ホスファターゼ症(HPP)
個人差によるもので心配がないケースや、低ホスファターゼ症で治療が必要なケースがあります。
それぞれ、どのようなものなのか確認してみましょう。
歯の生え変わりが早い原因はさまざまあり、自分で判断するのは難しいです。
心配な場合は、歯科医院でレントゲンを撮影してもらい、歯の生え変わりについて相談するのがおすすめです。
歯の生え変わりが早い原因①|個人差によるもの
歯の生え変わりが早い原因は、多くが個人差によるものです。
子どもの生え変わりが始まる年齢は、早い子で4歳、遅い子で9歳です。(※)
歯の生え変わりが始まるまでには、最大で5年もの差があるということになります。
歯の生え変わりが周りの子どもと比べて早かったり遅かったりすると、成長に何か問題があるのではと不安になることが多いかもしれません。
しかし、4歳以降に歯の生え変わりが始まったのであれば、歯の生え変わりが早い原因は個人差によるものと考えられるでしょう。
※日本小児歯科学会(2019年)「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究Ⅱ」より
歯の生え変わりが早い原因②|歯や顎の成長が早い
何らかの原因で歯や顎の成長が早い場合は、歯の生え変わりも早い傾向があります。
また、赤ちゃんのときに乳歯が生えるのが早かったような場合も、歯の生え変わりが早いです。
歯や顎の成長が早いだけなら、歯の生え変わりのスピードが早くても特に心配する必要はありません。
歯の生え変わりが早い原因③|低ホスファターゼ症(HPP)
低ホスファターゼ症という遺伝子疾患が原因で歯の生え変わりが早くなることがあります。
症状のひとつに4歳未満から乳歯が抜け始めるというものがあり、これが低ホスファターゼ症(HPP)のサインとなっています。
低ホスファターゼ症(HPP)とは、骨や歯のセメント質を作るアルカリホスファターゼという酵素が、遺伝子の変異によって働かなくなることで起こります。
歯の根を覆うセメント質が上手く作られないため、歯と顎の骨の結びつきが弱くなり、歯が抜けやすくなるのです。
4歳未満で歯が抜けた場合は、低ホスファターゼ症(HPP)の可能性があるため、注意が必要です。
歯科医院で診察を受けましょう。
歯の生え変わりが早いことの影響
歯の生え変わりが早いと、顎の発育や歯並びに影響を与えることがあります。
顎の発育や歯並びにはさまざまな要因が関与しているため、歯の生え変わりが早いことだけがこれらを悪化させる原因にはなりません。
例えば、乳歯が早くに抜けてしまっても、顎がしっかりと発育しており乳歯の下にあった永久歯がきちんと生えてくれば、歯並びがそこまで悪くなる心配はないのです。
しかし、乳歯が早くに抜けたのになかなか永久歯が生えてこないような場合は、残っている歯が永久歯が生えるためのスペースを埋めてしまうため、歯並びが悪くなる可能性があります。
また、歯の生え変わりのスピード以外にも、遺伝的な要因や舌癖などが原因で顎の発育が悪い場合は、将来的に歯並びは悪くなります。
歯並びの悪化は、成長とともに顔の形にも影響を与える可能性があります。
歯の生え変わりが早いこと顎の発育や歯並びに影響するかは自分で判断できないため、歯の生え変わりに関して心配なことがある場合は、歯科医院を受診しましょう。
早めに相談しておくことで、必要に応じて顎の大きさを整える矯正治療や早くに抜けた乳歯のスペースを確保するための処置などを受けることができます。
早い?子どもの歯の生え変わりサイクル
乳歯から永久歯への生え変わりのサイクルは下の前歯から始まり、6〜13歳前後で完了します。
もちろん個人差があり、早い子は4歳から生え変わりが始まり、遅い子では9歳まで生え変わらないというケースもあります。
このほか、性別による差もあり、一般的に女性の方が歯の生え変わりは早いとされています。
一般的に永久歯に生え変わるために乳歯が抜ける年齢の目安は、以下の通りです。
【見出し】乳歯の名称 | 【見出し】上顎 | 【見出し】下顎 |
【見出し】乳中切歯
(歯列の中央にある1番目の歯) |
7~8歳ごろ | 6~7歳ごろ |
【見出し】乳側切歯
|
8~9歳ごろ | 7~8歳ごろ |
【見出し】乳犬歯
|
11~12歳ごろ | 9~11歳ごろ |
【見出し】第一乳臼歯
|
9~11歳ごろ | 10~12歳ごろ |
【見出し】第二乳臼歯
|
9~12歳ごろ | 11~13歳ごろ |
早くても遅くても!歯の生え変わりの時期に気をつけたいこと
歯の生え変わりが早くても遅くても、歯の生え変わりの時期になったら以下のことに気を付けるようにしましょう。
- 歯磨きがきちんとできているか
- 悪癖の有無
- 永久歯が生えてきているか
- 乳歯が抜けているか
- 乳歯の生え変わりに左右差がないか
- 抜けた乳歯の根の形
これらは、健全な永久歯への生え変わりや顎・身体の発育に影響を与えたり、歯の本数の異常や遺伝子疾患のサインになったりする可能性があるポイントです。
どのようなことをチェックすべきか解説しますので、歯の生え変わりの時期にある方は確認してみましょう。
歯の生え変わりで気を付けること①|歯磨きがきちんとできているか
歯の生え変わりの時期は、生えかけの永久歯がある影響で歯の高さや歯列の凸凹が多くなる時期です。
そのため、子ども一人では凸凹の多い歯列をきれいに磨くのが難しく、また生えたての永久歯は歯質が柔らかくて弱いため、虫歯のリスクが非常に高くなります。
歯の生え変わりが始まってからは特に、十分に歯磨きができているかを確認しましょう。
また、子ども一人で歯を磨いたあとは、保護者の方が仕上げ磨きをして磨き残しがないようにすることも大切です。
歯科医院の定期検診を受けておくと、虫歯のチェック、フッ素塗布による歯質強化、子どもと保護者のライフスタイルに合ったセルフケアのアドバイスなどを受けることができるので、積極的に活用しましょう。
歯の生え変わりで気を付けること②|悪癖の有無
歯の生え変わりの時期は、子どもに以下のような癖がないか確認しましょう。
- 指しゃぶり
- 爪噛み
- 口を開けっぱなしにする癖(口ポカン、口呼吸)
- 歯の隙間に舌を押し付ける癖
これらの癖は「悪癖」と呼ばれ、正常な顎の発育や歯の萌出を邪魔する可能性があります。
出っ歯、受け口のような歯並びの悪化を招く可能性があるため、気をつけましょう。
悪癖がある場合は、小児矯正治療で悪癖を取り除くトレーニングや治療を受けるのがおすすめです。
歯の生え変わりで気を付けること③|永久歯が生えてきているか
乳歯が抜けたら、一般的な時期より早くても乳歯が抜けたところに永久歯が生えてきているか確認しましょう。
永久歯が生えてくるまでの期間の目安は、3ヶ月ほどが一般的です。
なかなか永久歯が生えてこない場合は、
- 歯茎の厚みで永久歯が生えてこない
- 乳歯の下に永久歯がない(先天性欠如)
- 過剰歯が邪魔をして永久歯が生えてこない
このような問題が起きている可能性があり、歯科医院でレントゲンをとって永久歯の本数を確認したり、歯茎を切る処置を受けたりする必要があります。
永久歯に生え変わる時期の目安は以下の通りです。
これまでに永久歯が生えない場合は、相談するのがおすすめです。
【見出し】永久歯の名称 | 【見出し】上顎 | 【見出し】下顎 |
【見出し】第一大臼歯
(六歳臼歯、前から数えて6番目の歯) |
6~7歳ごろ | 6~7歳ごろ |
【見出し】中切歯
(前から数えて1番目の歯) |
7~8歳ごろ | 7~8歳ごろ |
【見出し】側切歯
(前から数えて2番目の歯) |
8~9歳ごろ | 7~8歳ごろ |
【見出し】第一小臼歯
(前から数えて4番目の歯) |
10~11歳ごろ | 10~12歳ごろ |
【見出し】第二小臼歯
(前から数えて5番目の歯) |
10~12歳ごろ | 11~12歳ごろ |
【見出し】犬歯
(前から数えて3番目の歯) |
11~12歳ごろ | 9~10歳ごろ |
【見出し】第二大臼歯
(前から数えて7番目の歯) |
12~13歳ごろ | 11~13歳ごろ |
【見出し】第三大臼歯
(親知らず、前から数えて8番目の歯)) |
17~21歳ごろ
※生える人、生えない人、親知らずを生まれつき持たない人がいます。 |
歯の生え変わりで気を付けること④|乳歯が抜けるているか
何らかの原因で、乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてくるケースがあります。
仕上げ磨きの際に、乳歯が抜けてから永久歯が生えてきているか確認しましょう。
歯列が二重になっているようなら、乳歯が抜ける前に永久歯が生えてしまっている可能性があります。
歯の生え変わりで気を付けること⑤|乳歯の生え変わりに左右差がないか
乳歯は基本的にほぼ左右対称で生え変わります。
もし乳歯の生え変わりに左右差がある場合は、永久歯に問題が起きている可能性があります。
レントゲンを撮影して歯茎の中にある永久歯の状態を確認した方がいいでしょう。
歯の生え変わりで気を付けること⑥|抜けた乳歯の歯の根の形
乳歯が抜けたら、歯の根がどのような形をしているか確認しましょう。
乳歯が4歳未満で抜けた場合、歯の根の形が細い三角錐の形になっているようなら、低ホスファターゼ症(HPP)の可能性があります。
アルカリホスファターゼ酵素の働きが悪いことで、乳歯の早期脱落、歯周病などの問題が起こりやすいため、足りないアルカリホスファターゼ酵素を補う治療が必要です。
また、乳歯の早期脱落によって食事ができないという問題を防ぐために、子ども用の入れ歯が必要になる場合もあります。
4歳未満で乳歯が抜けたら歯の根の形を確認し、必要に応じて歯科医院で相談しましょう。
歯科医院を受診する際は、歯科医師が歯の根の形を確認できるよう、抜けた乳歯を持参するのが望ましいです。
歯の生え変わりが早い子のよくある質問5選
歯の生え変わりが早いと、タイミングが早すぎること自体が心配になったり、子どもの身体や知能の発育に何か問題が起きたりしているのではないかと考えてしまうことがあります。
歯の生え変わりが早い場合によくある質問をまとめましたので、チェックしてみましょう。
質問①|5歳で乳歯が抜けるのは早すぎる?
歯の生え変わりが始まるのは、日本小児歯科学会の研究によると4〜9歳ごろと幅があります。
個人差がありますが、5歳で生え変わりが始まることも十分にあり得ますので、そこまで心配する必要はありません。
しかし、乳歯が生え変わる時期は永久歯や顎の発育、歯磨きのしにくさによる虫歯リスクの増加など、注意すべきポイントがいくつもあります。
子どもの口の健全な発育を促すためにも歯科医院に通い、定期的に問題の有無をチェックするのが望ましいでしょう。
質問②|歯の生え変わりが早いことと発達障害は関係がある?
発達障害があると、歯の生え変わりが早かったり生え変わりの順番が違ったりするという説があります。
しかし、両者に明確な関係性は示されておらず、発達障害の子どもでも歯の生え変わりには個人差があります。
基本的には、歯の生え変わりの早さで発達障害を判断することはできません。
質問③|歯の生え変わりが早い子は早熟で生理が早い?
歯の生え変わりが早い子は同年代の子どもと比べて背が伸びるのが早くて早熟な傾向があります。
これは成長スピードの違いによるもので、身体の発育のタイミングが早いか遅いかの違いによるものといわれています。
ちなみに、歯の生え変わりが早いと生理が始まるのが早いという噂がありますが、生理と歯の生え変わりに関しては、直接的に関係があるというようなはっきりとしたデータは示されていません。
質問④|歯の生え変わりが早いことと身長の関係は?
歯の生え変わりが早いことと身長に関係があるという噂も聞きますが、両者に相関性はないとされています。
歯の生え変わりが早い子どもは身体の成長スピードが早い傾向はありますが、身長には遺伝、食生活、睡眠の質、ホルモンなども関係しているため、直接的な関係はないでしょう。
質問⑤|栄養不足だと歯の生え変わりが早い?
歯の生え変わりの早さや順番に関しては、栄養不足だと起こりやすいともいわれていることがあります。
しかし、栄養不足と歯の生え変わりの早さや順番には関係がありません。
むしろ歯が生えるのが早い子どもは、発育が良くて成長スピードが早い傾向があります。
栄養不足によって歯の発育が不十分になり、歯質が弱くなったり歯が欠如してしまったりする可能性はありますが、歯の生え変わりや順番に関しては特に関係はありません。
まとめ
歯の生え変わりが早い原因は、以下の3つが考えられます。
- 個人差によるもの
- 顎や歯の成長が早い
- 低ホスファターゼ症(HPP)
抜けたあとの乳歯や歯茎の状態が低ホスファターゼ症(HPP)のような病気、永久歯の萌出異常などのサインになっている場合があります。
歯の生え変わりが早い原因や、乳歯が抜けたあとに問題なく永久歯が生えてくるかどうかは、自分で判断するのが難しいです。
明らかな異常や心配事がなくても、歯の生え変わりの時期になったら念のため歯科医院でレントゲンを撮影してもらい、歯の状態を確認するといいでしょう。
また、歯が生え変わる時期は、特に虫歯のリスクが高くなります。
健全な子どもの発育のためにも、歯科医院で定期的に検診やケアを受けるのがおすすめです。
〈参考〉
乳歯の生え変わりが早い原因は?抜けるのが4歳未満だと病気の可能性も? | 横須賀市の歯医者|はる小児歯科・矯正歯科クリニック
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この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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