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2024/07/30
前歯のインプラントは失敗しやすい?難しい理由、費用、治療期間、注意点を解説!
目次
「前歯のインプラントは難しいからできない」
こんなことを聞いたことはありませんか?
インプラントとは、歯が無くなった部分に歯の根の代わりとなるネジのようなものを埋め込んで歯の機能を回復する方法です。
天然歯と構造が似ていることから、ブリッジや入れ歯よりも見た目が良くて快適に使えるため、前歯が無くなった時にインプラントを検討する人も多いでしょう。
今回は、前歯のインプラントが難しいと言われる理由、費用、治療期間、前歯のインプラント治療で歯がない期間、仮歯の期間、前歯のインプラントをする前に知っておきたい注意点について解説します!
失敗しやすい?前歯のインプラントが難しい理由
前歯のインプラントは、以下のような理由から難易度が高くて難しい治療と言われています。
- 奥歯よりも見た目に配慮した治療計画が必要だから
- 前歯の歯茎は退縮しやすいから
- 前歯の骨は奥歯よりも薄くて痩せやすいから
一つずつ詳しく確認してみましょう。
前歯のインプラントが難しい理由①|奥歯よりも見た目に配慮した治療計画が必要だから
前歯のインプラントが難しい理由の一つ目は、奥歯よりも見た目に配慮した治療計画が必要になることです。
前歯は、奥歯と比べて見た目に大きな影響を与えます。
インプラントの歯の大きさ、形、色、挿入角度や深さが少し違うだけで、他の歯との調和が取れなくなってしまうのです。
これにより、前歯のインプラントは奥歯よりも慎重に進めなくてはいけない点で難しいと言われています。
前歯のインプラントが難しい理由②|前歯の歯茎は退縮しやすいから
前歯のインプラントが難しい理由の2つ目は、前歯の歯茎は退縮しやすく、インプラントを入れる前に歯茎のコンディションをしっかりと整える必要があるからです。
前歯の歯茎は、歯を失うと痩せてしまいます。
痩せた歯茎にインプラントを埋め込むと歯茎とインプラントとの境目が目立ち、綺麗に仕上がらない可能性が高いです。
特に見た目に影響が出やすい前歯のインプラントでは、歯茎のコンディションもインプラントを美しく仕上げるために大切な要素となります。
前歯の歯茎が退縮しやすいことを加味して術前に必要な対策を練らなくてはいけないことも、前歯のインプラントの難易度が高いと言われる要因でしょう。
前歯のインプラントが難しい理由③|前歯の骨は奥歯よりも薄くて痩せやすいから
前歯のインプラントが難しいと言われる3つめの理由は、前歯の骨が奥歯よりも薄くて痩せやすいからです。インプラントは骨に穴を開けて埋め込む必要があります。
しかし、前歯は奥歯に比べて形態的に骨が薄いことに加え、歯を失うことでさらに骨が痩せて細くなりやすいです。
骨が薄いところは単純にインプラントを埋め込むのが難しいため、前歯のインプラントも必然的に治療の難易度が高くなります。
骨が薄いと、インプラント体が露出しないように埋入角度を慎重に考慮する必要があります。
前歯のインプラント費用
前歯のインプラントの費用は、自費診療で1本あたり30〜40万円が相場です。
しかし、自費診療で価格を歯科医院で自由に決めることができる一方で、保険適用ができるケースもあり一概には言えません。
インプラントの費用を
- 前歯のインプラント1本分の費用
- 前歯のインプラント2本以上の費用
- 前歯のインプラントを保険適用で受ける場合の費用
この3つのケースに分けて、詳しく確認してみましょう。
前歯のインプラント1本分の費用
前歯のインプラント1本分の費用相場は、自費診療で30〜40万円くらいです。
内訳としては
- インプラント本体の費用
- インプラントの上に取り付ける人工歯の費用
- 検査費用
- 手術費用 など
が含まれるのが一般的です。
さらに、インプラントを埋め込むために骨造成、骨誘導再生(GBR)、歯茎の移植手術が必要な場合は以下の治療費がプラスされます。
- 骨造成:3〜30万円ほど
- 骨誘導再生(GBR):3〜15万円ほど
- 歯茎の移植手術:3〜5万円ほど
骨造成、骨誘導再生(GBR)、歯茎の移植手術を行った場合のインプラント1本あたりの費用相場は、合計で33〜55万円ほどになるでしょう。
ただしインプラントは自費診療のため、歯科医院との契約内容によって内訳が異なる場合があります。
また、使用するインプラントのメーカーや人工歯の素材などで費用は変わります。
カウンセリングの際に内訳などをしっかりと確認しておきましょう。
前歯のインプラント2本以上の費用
インプラントは1本ずつ費用がかかるので、2本以上になれば費用は2倍、3倍とインプラントが必要な分だけ増えるのが一般的です。
例えば10本インプラントを入れるなら、1本あたりの費用相場30〜40万円×10本=300〜400万円ほどかかることになります。
ただし、歯を失った本数が多い場合はインプラント数本を柱として入れ歯を被せる「インプラントデンチャー」やインプラントを数本入れて、インプラントブリッジとして全ての歯を連結させる「オールオン4」を採用することで、費用を抑えることもできます。
インプラントは汎用性の高い治療方法です。
失った歯の本数、患者の希望、予算に応じてインプラントの本数を少なくできる場合があるので、歯科医院で相談してみましょう。
前歯のインプラントを健康保険適用で受ける場合の費用
前歯のインプラントは基本的に自費診療ですが、健康保険の適用条件を満たすと82,000〜102,000円でインプラントを埋入する手術を受けることができます。(※)
※健康保険3割負担の場合。インプラント埋入の術式、人工歯の種類、その他付随する治療内容によって費用が変わります。また、別途診断料、管理料などがかかります。
ただし、インプラントが保険適用になるには、歯科医院の設備や人材に関する条件と口の状態の2つに分けていくつかの条件があります。
特定の病状を持つ人が条件をクリアした歯科医院で治療を受ける必要があるので、保険適用でインプラント治療ができる人はかなり限られています。
前歯のインプラントが保険適用になる条件①|口の状態
前歯のインプラントを保険適用で受けられるのは、以下に該当する人です。
- 先天性疾患により、顎の骨の1/3以上が連続して欠損している
- 先天的な理由で顎の骨が形成不全
- 後天的な理由(病気や事故など)により、顎の骨の1/3以上が連続して欠損している
- 生まれつき6本以上の歯が欠損している
- 連続した1/3顎程度以上の多数歯が欠損している
基本的には、生まれつきの疾患による多数歯の欠損がある人に限られるため、虫歯や歯周病などが原因で歯を失った人のインプラントは自費診療となります。
前歯のインプラントが保険適用になる条件②|歯科医院の設備や人材
前歯のインプラント治療を保険適用で受ける場合、以下の条件を満たした歯科医院で治療を受ける必要があります。
- 入院用ベッドが20床以上ある病院の歯科または口腔外科で、いずれかに下記条件に該当する歯科医師が常勤で2名以上いる
- 歯科または口腔外科で5年以上の治験経験がある、または3年以上のインプラント治療の治験がある常勤医師が2名以上いる
当直体制を整えている病院である - 国が定める医療機器や医薬品の管理体制が整備されている
前歯のインプラントの治療期間
前歯のインプラントの治療期間は、平均で3〜12ヶ月くらいかかります。
治療期間に開きがあるのは、骨造成や歯茎の移植手術をするかしないかで治療期間が変わるからです。
3〜12ヶ月の間のインプラント治療の流れとそれぞれにかかる期間は以下の通りです。
1、精密検査・治療計画作成:2~14日ほど
2、術前処置:1〜7ヶ月ほど
骨や歯茎を増やす処置が必要な場合に行います。
必要ない人は、この期間が短縮できることになります。
それぞれの処置にかかる治療期間は以下の通りです。
・骨造成:4〜7ヶ月ほど
・骨誘導再生(GBR):3~6ヶ月ほど
・歯ぐきの移植手術:1~2ヶ月ほど
3、インプラントの埋入手術・定着期間:上顎6ヶ月ほど、下顎3ヶ月ほど
インプラントを埋入する手術を行い、インプラントと骨がくっついて定着するのを待つ期間です。
インプラントの埋入は術式によって手術の回数が異なりますが、1回あたり1〜3時間ほどの手術を1〜2回行うのが一般的です。
手術自体は日帰りで完了しますが、インプラントの定着を待つ定着期間が上顎6ヶ月ほど、下顎3ヶ月ほどかかります。
4、人工歯の取り付け:1日
インプラントが顎の骨に定着したら、最後に人工歯を取り付けます。
人工歯の取り付けは1日で終了します。
前歯のインプラントで歯がない期間
インプラントをする場合は、人工歯の取り付けは一番最後の工程となります。
そのため治療スタートから人工歯の取り付けまでの3〜12ヶ月間、ずっと歯がない期間が続くのではと不安になる人も多いでしょう。
しかし、インプラント治療中は人工歯が入るまでは仮歯を使って見た目とある程度の機能をカバーするので、歯がない期間が長く続く訳ではありません。
人工歯が入るまでを歯がない期間とするなら、前歯のインプラント治療で歯がない期間は3〜12ヶ月です。
仮歯が入るまでを歯がない期間とするなら、前歯のインプラント治療で歯がない期間は、インプラントの埋入手術が終わってから傷口が安定するまでの1週間ほどと考えられます。
手術直後も人口歯を隣接歯に固定して、歯がない期間をなくす方法もあるので一度歯科医院で相談してみてもいいかもしれません。
前歯のインプラントで仮歯になる期間
前歯のインプラントで仮歯になる期間は、インプラント埋入後から人工歯が入るまでの3〜6ヶ月ほどです。
前歯の場合は歯がないと目立ちやすいため、奥歯よりも比較的早い段階で仮歯を装着してもらえます。
仮歯は、両隣の歯を支えとして装着するのが一般的です。
後悔しないために!前歯のインプラントの3つの注意点
前歯のインプラントを後悔しないために、カウンセリングを受ける前に以下のことを知っておくと安心です。
- 前歯のインプラントができないと言われたらセカンドオピニオンを受ける
- 術後は患部が腫れる
- 10年後のインプラントの生存率は高い
前歯のインプラントの注意点①|できないと言われたらセカンドオピニオンを受ける
前歯のインプラントは、奥歯よりも歯茎や骨が薄いため難しい治療です。
そのため、歯科医院によっては前歯のインプラントではなくブリッジや入れ歯のような他の治療を薦められる場合があります。
しかし、前歯のインプラントは難しい治療ではありますが、できない治療ではありません。
他の歯科医院ならできる可能性があるので、セカンドオピニオンを受けてみるといいでしょう。
前歯のインプラントの注意点②|術後は患部が腫れる
インプラントを骨に埋入する時、骨造成や歯茎の移植手術をする時には、歯茎を切ったり骨に穴を開けたりする必要があります。
そのため、術後は傷口が落ち着くまでは患部が腫れることが多いです。
術後の腫れは7〜10日くらいで落ち着くため、仕事のスケジュールなどを考慮して歯科医院の予約を取るようにしましょう。
前歯のインプラントの注意点③|10年後のインプラントの残存率は高い
インプラントが10年後に残っている確率は、上の歯で90%、下の歯で95%と高いです。
人工物なのでメンテナンスを怠るとインプラントの生存率も下がりますが、きちんと術後のケアを行えば十分に長持ちすると言えます。
インプラントと比較されることの多いブリッジの寿命は約6〜8年、入れ歯は約5年です。
インプラントは10年以上持つ可能性が高いので、治療を選択する際は治療期間や費用による短期的な面だけでなく、将来のことも考えて選ぶようにするといいでしょう。
まとめ
前歯のインプラントは、以下の理由から難しいと言われています。
- 奥歯よりも見た目に配慮した治療計画が必要だから
- 前歯の歯茎は退縮しやすいから
- 前歯の骨は奥歯よりも薄くて痩せやすいから
しかし、難しいからといってできない治療ではありません。
セカンドオピニオンも活用していくつかの歯科医院でカウンセリングを受け、ブリッジや入れ歯のような治療法ともよく比較検討して決めるようにしましょう。
〈参考〉
前歯のインプラントは難しい?費用や難しい理由、治療期間を解説 | インプラントなら杉並区荻窪の歯医者 高田歯科クリニック
インプラントオーバーデンチャーとは?メリット・デメリットや治療費を解説 | インプラントなら杉並区荻窪の歯医者 高田歯科クリニック
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この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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