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2024/07/29
歯の隙間を自分で埋めることはできる?治療方法、値段、保険適用、原因、リスクを解説!
目次
歯の隙間は前歯にあると見た目に影響を与えやすく、奥歯にあっても食べ物が挟まりやすいため、気になることが多い歯並びです。
今回は、歯の隙間を自分で埋めることはできるのか、治療方法、保険適用で治療できるのか、歯の隙間ができる原因、放置するリスクについて詳しく解説します!
歯の隙間は自分で埋められる?
歯の隙間を自分で埋める方法はありません。
自分で歯の隙間を埋める方法として、以下のような民間療法が示されている場合もありますが非常に危険です。
【NG】市販のレジンやパテを使って歯の隙間を埋める
【NG】輪ゴムで縛って歯を動かす
【NG】指で押して歯を動かす
自己判断でこのような方法を行うと歯の周りの組織を傷つけたり、歯そのものにダメージを与えてしまったりする恐れがあるからです。
歯の隙間を埋めるには歯科矯正治療で歯を動かしたり、歯科専用の機材や材料を使って歯の形を変えたりする必要があります。
自己判断で歯の隙間を埋めようとするのは危ないので止めましょう。
歯の隙間を埋める4つの方法
歯の隙間を埋めるには、以下の4つの方法があります。
いずれも歯科医院で受ける歯科治療です。
- 歯科矯正治療
- コンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)
- ラミネートベニア治療
- セラミック治療
どのような治療をするのか一つずつ解説します。
歯の隙間を埋める方法①|歯科矯正治療
歯科矯正治療では、歯を動かして歯の隙間を埋めます。
コンポジットレジンやセラミックの被せ物などを使わずに治せるため、天然歯のまま歯の隙間を埋めることができる根本治療です。
奥歯まですべての歯を動かす全体矯正と前歯だけを動かす部分矯正があります。
部分矯正の場合は、最短3ヶ月〜1年ほどの比較的短期間で治療可能です。
全体矯正の場合は1〜3年ほどの期間がかかりますが、歯の隙間を埋めるのと同時に噛み合わせまで整えられるというメリットがあります。
歯並びや噛み合わせは見た目だけでなく、口の健康や歯の寿命にも影響を与えます。
単に歯の隙間をなくして見た目を整えるだけではなく、歯や口を長く健康な状態に保つことにもなるのでおすすめです。
- 歯科矯正治療で歯の隙間を埋めるメリット
- 天然歯のまま歯の隙間を埋めることができる
- セラミックやコンポジットレジンの変色や破損による再治療の心配がない
- 人工物を使っていないので、治療後のメンテナンスがしやすい
- 全体矯正なら出っ歯や受け口のような噛み合わせまで改善できる
- 軽度〜重度の歯の隙間の治療ができる
- 隙間がなくなり、歯と歯が接触することで、お互い支えられて動揺などのリスクが下がる
- 歯科矯正治療で歯の隙間を埋めるデメリット
- 治療期間が他の治療方法よりも長い
- 費用が他の治療方法よりも高い
- 歯の大きさ、形は変えられない
→矮小歯(※)の他、歯の形を整えたい場合はセラミック治療やコンポジットレジン治療との併用が必要
※矮小歯→生まれつき通常よりも小さい歯のこと。
歯の隙間を埋める方法②|コンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)
コンポジットレジン治療とは、歯科用のレジンやハイブリッドレジンを使用して歯の形を変える治療です。
ダイレクトボンディングとも呼ばれます。
基本的には歯を削らず、レジンを歯に接着して歯の形を変えることで歯の隙間を埋めます。
- コンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)で歯の隙間を埋めるメリット
- 治療が1回の通院で済むことが多い
- 矮小歯のような小さい歯の形を大きくして整えられる
- 基本的に歯を削らなくて済む
- 費用が他の治療方法よりも安い
- 歯を削らないので、合わなければ治療前の状態に戻すことができる
- コンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)で歯の隙間を埋めるデメリット
- 経年変化によりコンポジットレジンの変色・摩耗・破損が起こる
- 色調の調整が難しい場合がある
- 歯の隙間が大きい重度症例には適応できない
- 歯を動かしていないので根本的な治療にはならない
- 歯肉の上に詰め物を盛る場合は清掃不良になり歯肉に炎症が起きやすい。
歯の隙間を埋める方法③|ラミネートベニア治療
ラミネートベニア治療では歯の表面を0.3〜0.5mmほど削り、上から薄いセラミックのチップを貼り付ける治療です。
歯の隙間を埋める場合は、実際の歯よりも横幅の大きいチップを貼り付けて隙間をなくします。
- ラミネートベニア治療で歯の隙間を埋めるメリット
- 天然歯に近い風合いを再現できる
- 矮小歯のような小さい歯の形を大きくして整えられる
- 治療が最短2回の通院で済む
- 歯を削る量がセラミック治療よりも少ない
- セラミック治療よりも費用が安い
- コンポジットレジンよりも変色しにくい
- 治療後の後戻りがない
- ある程度の歯のガタつきも改善できる
- ラミネートベニア治療で歯の隙間を埋めるデメリット
- 基本的には歯を削る必要がある(いったん今の隙間をより大きくすることになる)
- ラミネートベニアの破損や脱離のリスクがある
- 歯の隙間が大きい重度症例には適応できない
- 前歯にしか適応できない
- 歯を動かしていないので根本的な治療にはならない
歯の隙間を埋める方法④|セラミック治療
セラミック治療は歯を一回り削って小さくし、上からセラミックの被せ物をする治療です。
歯の隙間を埋める場合は、実際の歯よりも大きい被せ物を装着して隙間をなくします。
- セラミック治療で歯の隙間を埋めるメリット
- 天然歯に近い風合いを再現できる
- 歯の形、大きさ、色を自由に変えられる
→歯を大きくするだけでなく小さくもできるので、ダイレクトボンディングやラミネートベニアよりも自由度が高く、適応範囲も広い - 治療期間が1〜3ヶ月ほどで、歯科矯正治療よりも短く済む
- 経年変化による変色や摩耗が起こりにくい
- 治療後の後戻りがない
- 歯並びも同時に改善できる
- セラミック治療で歯の隙間を埋めるデメリット
- 歯を削る量が他の治療方法よりも多い
- 場合によっては歯の神経を抜く必要がある
→神経がある歯と比べて、歯の寿命が短くなる可能性が高い - セラミックの破損や脱離のリスクがある
- 歯の隙間が大きい重度症例には適応できない
- 歯を動かしていないので根本的な治療にはならない
保険適用になる?歯の隙間を埋める治療の値段
歯の隙間を埋める治療が保険適用になるかは、治療方法、歯の状態、治療に使う素材によって異なります。
歯の隙間を埋める方法ごとに、値段と保険適用の可否を確認してみましょう。
歯の隙間を埋める費用①|歯科矯正治療
歯科矯正治療で歯の隙間を埋める場合は基本的に保険適用外ですが、条件を満たせば一部保険適用にて治療できることがあります。
それぞれの費用の目安は、以下の通りです。
- 保険適用外(自費診療)の場合
- 部分矯正:10万~50万円以上
- 全体矯正:60万~100万円以上
- 保険適用の場合
- 全体矯正:30万円前後(3割負担の場合、部分矯正は適応外)
ただし、歯科矯正治療が保険適用になるには、以下の条件のうちどれか1つを満たす必要があります。
- 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
- 前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
- 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
単に歯の隙間があるだけでは保険適用にはならないので注意しましょう。
歯の隙間を埋める費用②|コンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)
コンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)で歯の隙間を埋める場合も、歯科矯正治療と同じように保険適用外のケースと保険適用のケースがあります。
それぞれの費用の目安は、以下の通りです。
- 保険適用外(自費治療)の場合;1歯につき3〜5万円ほど
- 保険適用の場合:1歯につき1,500円ほど(3割負担の場合)
歯の隙間を埋めるためのコンポジットレジン治療(ダイレクトボンディング)が保険適用になるには、以下の条件を2つとも満たす必要があります。
- 虫歯治療を兼ねていること
- 虫歯治療後の歯の修復に保険適用のレジンを使用すること
コンポジットレジン治療を行う歯が虫歯ではない場合や、虫歯治療後の修復に使用するレジンが保険適用外のハイブリッドレジンの場合は自費治療となります。
ただ、医院によっては保険の費用でむし歯のない歯にダイレクトボンディングをしていることもありますので問い合わせてみてもいいかもしれません。
歯の隙間を埋める費用③|ラミネートベニア
ラミネートベニアは、保険適用外の治療です。
治療する歯に虫歯があったとしてもラミネートベニアで修復する場合は、保険適用外となり全額自己負担となります。
ラミネートベニア治療で歯の隙間を治す費用は、1歯につき5〜15万円が目安です。
歯の隙間を埋める費用④|セラミック治療
セラミック治療は基本的に保険適用外(自費治療)の治療ですが、条件を満たせば保険適用にて治療できる可能性があります。
それぞれの費用の目安は、以下の通りです。
- 保険適用外(自費診療)の場合:1歯あたり10〜15万円ほど
- 保険適用の場合:6,000円ほど(3割負担の場合)
歯の隙間を埋めるセラミック治療で保険適用になる可能性があるのは、以下の2つの条件を満たしているケースです。
- 虫歯治療を兼ねていること
- 虫歯治療後の歯の修復に保険適用のCAD/CAM冠を使用すること
CAD/CAM冠とは、保険適用で入れることのできるハイブリッドセラミックの被せ物です。
セラミックにレジンが含まれるため、保険適用外のセラミック治療で使われる素材よりも審美性や耐久性は劣ります。
また、CAD/CAM冠を保険適用で使用できる歯科医院には限りがあり、歯の隙間を埋める治療にCAD/CAM冠を使用できるかは歯科医師の治療方針によってことなります。
治療を受ける前によく確認しましょう。
歯の隙間ができる6つの原因
歯の隙間ができる原因には以下のようなものがあります。
- 顎と歯の大きさのバランス
- 生まれつき歯の本数が少ない
- 奥歯の喪失
- 噛み合わせ
- 歯周病
- 上唇小帯が大きい
- 舌が大きい
- 癖
どうして歯の隙間ができるのか原因別に確認してみましょう。
歯の隙間の原因①|顎と歯の大きさのバランス
顎の大きさよりも歯の大きさが小さい場合は、歯が並ぶスペースが余って歯と歯の間に隙間ができることがあります。
顎と歯の大きさのバランスが乱れて歯に隙間ができるケースには、
- 歯の大きさは平均的でも顎が大きい
- 顎の大きさは平均的でも歯が小さい
- 矮小歯のように一部の歯だけが小さい
などがあります。
歯の隙間の原因②|生まれつき歯の本数が少ない
生まれつき歯の本数が少ないと顎のスペースが余るので、歯と歯の間に隙間ができることがあります。
永久歯は親知らずを除いて全部で28本あります。
28本よりも歯の本数が少ない人は、生まれつき歯の本数が少ないです。
生まれつき歯の本数が少ないことを歯科用語では「先天性欠損歯(欠如歯)」と言います。
歯の隙間の原因③|歯の喪失
虫歯、歯周病などが原因で歯が抜けてしまった状態を放置すると、歯がなくなった場所に残っている歯が移動して、歯と歯の間に隙間ができることがあります。
歯の喪失が原因ですきっ歯になっている場合は、歯を補う治療(補綴処置)も考慮して治療計画を立てる必要があります。
歯の隙間の原因④|深い噛み合わせ
噛み合わせが深いと、噛んだときに下の前歯が上の前歯を押し広げてしまい歯の間に隙間ができることがあります。
噛み合わせが深いことを歯科用語では「過蓋咬合」と言います。
過蓋咬合は奥歯に負担がかかりやすいため、出っ歯や受け口などと並んで治した方がいい噛み合わせの1つとなっています。
歯の隙間の原因⑤|歯周病
歯周病は、歯の汚れが原因で歯を支える骨や歯茎が溶ける病気です。
歯周病が進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、歯が動いて隙間ができてしまうことがあります。
歯周病で歯に隙間ができている場合は、歯の隙間をなくす治療を受ける前に歯周病を治す必要があります。
歯の隙間の原因⑥|上唇小帯が大きい
上唇小帯が大きくて上の前歯の間に入り込んでいると、ヒダが邪魔をして歯の間に隙間ができることがあります。
上唇小帯とは、上唇と歯茎を繋ぐ太いヒダです。
上唇をめくったときに、人中の真下にあります。
歯の隙間を埋める治療をする際は、追加で上唇小帯を切って小さくする処置が必要になることが多いです。
歯の隙間の原因⑦|癖
- 舌で前歯を押し出してしまう
- おしゃぶりがなかなかやめられない
- 下唇を噛んでしまう
- 歯ぎしり
このような癖があると、歯の間に隙間ができることがあります。
出っ歯や受け口などの原因にもなるので、このような癖がある場合は意識的にやめるようにするといいでしょう。
歯の隙間を放置する4つのリスク
歯の隙間を放置することは、以下のようなリスクに繋がります。
- 歯の隙間が広がる
- 虫歯や歯周病のリスクが高くなる
- 発音が不明瞭になりやすい
- 噛み合わせが悪化する
歯の隙間を放置するリスク①|歯の隙間が広がる
歯の隙間があるということは、噛み合わせや癖などが原因で歯と歯の間に隙間ができるような方向に力がかかっているということです。
放置すると時間経過とともにさらに歯が動き、歯の隙間が広がる可能性があります。
歯の隙間を放置するリスク②|虫歯や歯周病のリスクが高くなる
歯の隙間が空いているところに食べかすや歯石などが溜まり、虫歯や歯周病を招くことがあります。
隙間が広ければ食べかすが詰まりにくく唾液の自浄作用が働きやすいので、虫歯や歯周病のリスクは低いかもしれませんが磨きにくく、また後述のリスクもあります。
しかし、歯磨きがしにくくて食べかすが詰まりやすいような大きさの隙間がある場合は虫歯のリスクが高くなります。
見た目だけでなく、歯の健康を保つためにも歯の隙間を埋める治療をした方がいいでしょう。
歯の隙間を放置するリスク③|発音が不明瞭になりやすい
歯と歯の間に隙間があると、発音したときに空気が漏れて発音が不明瞭になることがあります。
特にサ行やタ行は歯で空気を閉じ込めて発音するため、歯に隙間があると不明瞭になりやすいでしょう。
歯の隙間を放置するリスク④|噛み合わせが悪化する
歯の間に隙間がある人は、噛み合わせが深い、前歯が噛み合わないなどして噛み合わせにも問題を抱えている場合があります。
噛み合わせが悪い人は食べ物をしっかり噛めないので消化機能に負担をかけたり、頭痛や肩こりを引き起こしたりする可能性があります。
まとめ
歯の隙間は、自分で埋めることはできません。
歯の隙間を埋めるには、
- 歯科矯正治療
- コンポジットレジ治療(ダイレクトボンディング)
- ラミネートベニア治療
- セラミック治療
これらの治療を歯科医院で受ける必要があります。
費用は基本的に保険適用外ですが、治療方法、歯の状態、治療に使う素材によっては保険適用になるケースもあります。
まずは歯科医院で診察を受けて相談してみましょう。
〈参考〉
すきっ歯矯正の「費用は安い?」「期間は短い?」わかりやすく解説!
すきっ歯はダイレクトボンディングで治すのがおすすめ? | 天王寺の歯医者(歯科医院)『松川デンタルオフィス』
補綴で治す?矯正で治す?すきっ歯治療法のメリット・デメリットを解説 | 東京加悦矯正歯科クリニック
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この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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