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2024/05/26

小児矯正とは?大人の矯正との違い、種類、費用、メリット、デメリットを徹底解説!

目次

「子供の歯並びを小児矯正で早いうちに治したい」と考える人は増えています。

では、なぜ小児矯正をした方がいいのでしょうか?大人になってから矯正するのでは遅いのでしょうか?

 

今回は、小児矯正にはどんな治療があるのか、大人の矯正との違い、種類、費用、メリット、デメリットを徹底解説します!

 

「いつから何歳までに始めるべき?」
「小児矯正を第1期でやめるとどうなるの?」

 

こんな疑問にもお答えします!

小児矯正とは

小児矯正とは、永久歯が生え揃う前の乳歯がある段階、もしくは永久歯が生え揃った直後から始める矯正治療です。

移りゆく子供の口の状態に合わせて、小児矯正治療は以下の3つの段階に分けられます。

 

  • 3〜5歳頃に行う「第0期治療(早期初期治療)」(※)
  • 6〜12歳頃に行う「第1期治療(早期治療)」
  • 12歳以降の永久歯列が完成した頃から始める「第2期治療」
    ※第0期と第1期をまとめて「第1期治療」とする場合もあります。

 

小児矯正は、全ての子供が必ず第0期治療から治療を始めるという訳ではありません。

症例によっては第0期・第1期治療が必要ない場合もありますし、受診する年齢が遅くて第1期治療や第2期治療からしか治療を始められない場合もあります。

 

そのため、子供の成長、症例、矯正歯科を受診する年齢に応じて、どの段階からどのようなアプローチをするかは変わります。

小児矯正と大人の矯正の違い

小児矯正と大人の矯正の違いは、以下の4つです。

 

  • 治療へのアプローチ方法
  • 治療計画の自由度
  • 治療を始める時期
  • 治療に使う矯正装置のバリエーション

 

ひとつずつ解説します。

小児矯正と大人の矯正の違い①|治療へのアプローチ方法

小児矯正も大人の矯正も、最終的に綺麗な歯並びと良好な噛み合わせを獲得するという治療目標は同じです。

しかし、小児矯正は成長期を利用した治療を行えるという点で、治療へのアプローチ方法が大人の矯正とは異なります。

 

小児矯正の第0期治療・第1期治療では、成長期をサポートして顎の骨を広げる、顎が必要以上に大きくならないように成長を抑制するなどのアプローチを行います。

これにより永久歯列を整えるための土台を作っておけるので、第2期治療で永久歯を並べるために抜歯や外科手術をする確率を下げられるのです。

 

一方、成長期が終わった大人の矯正は、成長期にある子供のように顎の大きさをコントロールするようなアプローチはできません。

代わりに抜歯や外科手術のようなアプローチを行い、永久歯の歯並びや噛み合わせを治すことになります。

小児矯正と大人の矯正の違い②|治療計画の自由度

子供は大人と比べて歯周病、歯の欠損、人工歯が少ないため、小児矯正の方が治療計画の自由度が高いです。

 

大人の矯正は、口の状態に応じて矯正治療の前に歯周病治療を先に行う、人工歯を作り直す、人工歯が動かないことを前提とした治療計画を立てるなど、小児矯正とは違うアプローチで歯並びや噛み合わせを整えなくてはいけない場合があります。

 

歯を動かす範囲が限定されると、健康な歯や歯茎の人と同じレベルの歯並びや噛み合わせにはできない場合があり、治療計画の自由度は低くなります。

小児矯正と大人の矯正の違い③|治療を始める時期

小児矯正と大人の矯正は、治療を始める時期が異なります。

 

小児矯正は3歳〜12歳ころまでの間に治療を始めるのが一般的です。

一方、大人の矯正は口の状態にもよりますが、基本的には何歳からでも始められます。

 

小児矯正を始める年齢の目安と主な症状は、以下の通りです。

【見出し】年齢の目安

【見出し】小児矯正を行う主な症状

【見出し】第0期治療

 

(早期初期治療)

3〜5歳頃

(乳歯列期)

  • 受け口(反対咬合、下顎前突)
  • 左右のどちらかに噛み合わせがズレている(側方偏位)
【見出し】第1期治療

 

(早期治療)

6〜12歳頃

(混合歯列期)

  • 受け口(反対咬合、下顎前突)
  • 出っ歯(上顎前突)
  • 噛み合わせが深い(過蓋咬合)
  • 歯列が凸凹している(叢生)
  • 埋伏歯 など
【見出し】第2期治療 12歳以上

(永久歯列期)

  • 問題のある咬み合わせ・歯並び全て

小児矯正と大人の矯正の違い④|治療に使う矯正装置のバリエーション

小児矯正と大人の矯正では、使用する矯正装置のバリエーションが違います。

 

小児矯正では、子供の年齢や顎の発達に応じて様々な矯正装置を使い分けてアプローチするため、矯正装置のバリエーションが多いです。

 

一方、大人の矯正は基本的にマルチブラケット装置(ワイヤー矯正)またはマウスピース矯正で治療をするので、矯正装置のバリエーションは少ないです。

小児矯正で使用する矯正装置の種類

小児矯正で使用する矯正装置は大きく以下の3種類に分けられます。

 

  • 可撤式矯正装置
  • 固定式矯正装置
  • 顎外固定装置

 

どんな矯正装置かひとつずつ見ていきましょう。

小児矯正装置の種類①|可撤式矯正装置

可撤式矯正装置は、自分で付け外しできるタイプの矯正装置です。

以下のようなものがあります。

【見出し】可撤式矯正装置の種類

【見出し】主な用途

【見出し】拡大床 歯列を横方向に拡大する。
【見出し】バイオネーター 下顎の前方への成長を促す。
【見出し】リップバンパー 唇の力を利用して奥歯を後方に動かす。
【見出し】ムーシールド

プレオルソ

T4K

歯並びに影響を与える舌と唇の位置や筋肉バランスを整える。
【見出し】インビザラインファースト

 

(子供のマウスピース矯正)

歯並びを整えながら顎の大きさや位置を整える。

小児矯正装置の種類②|固定式矯正装置

固定式矯正装置は、歯に接着剤などで固定する矯正装置です。自分でつけ外しすることはできません。

以下のようなものがあります。

【見出し】固定式矯正装置の種類

【見出し】主な用途

【見出し】クワドヘリックス 歯列を横方向に拡大する。
【見出し】急速拡大装置 顎を横方向に拡大する。歯列だけでなく顎の骨ごと拡大できる。
【見出し】リンガルアーチ 前歯を前方に押し出す。
【見出し】タングガード 舌で歯を前に押し出す癖を止めさせる。

小児矯正装置の種類③|顎外固定装置

顎や頭にバンドやワイヤーを通して歯と繋ぎ、口の外に固定源を求める矯正装置です。

以下のようなものがあります。

【見出し】顎外固定装置の種類

【見出し】主な用途

【見出し】上顎前方牽引装置 上顎の前方への成長を促す。
【見出し】チンキャップ 下顎の成長を抑制する。
【見出し】ヘッドギア 上顎の成長を抑制する。

小児矯正の費用

第0期、第1期、第2期ごとにかかる小児矯正の費用、保険適用の有無、医療費控除の可否について解説します。

段階別の小児矯正費用

第0期、第1期、第2期ごとにかかる小児矯正費用は、以下の通りです。

 

  • 第0期治療→5万円〜
  • 第1期治療→30〜50万円前後
  • 第2期治療→30〜50万円前後

 

永久歯の歯並びと噛み合わせを整える第2期治療が完了するまでは、トータルで60〜100万円くらいかかるのが一般的です。

 

ただし、小児矯正は自費診療のため、歯科医院、症例、使用する矯正装置によって費用は変わります。

小児矯正の費用は保険適用外

小児矯正の費用は一部のケースを除いて保険適用外です。

 

保険適用になるケースは、以下の3つです。

 

  1. 唇顎口蓋裂、鎖骨頭蓋骨異形成など、先天的な遺伝子疾患によって咬合異常が起きているケース
  2. 前歯、小臼歯のうち、3歯以上の萌出不全によって咬合異常が起きているケース(ただし、埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)
  3. 顎変形症によって咬合異常が起きているケース

 

これらに該当する場合は、小児矯正が保険適用で受けられる可能性があります。

小児矯正は保険適用外だが医療費控除が使える

小児矯正は一部のケースを除いて保険適用外ですが、医療費控除を申請することができます。

 

医療費控除とは、対象となる医療に年間10万円以上(※)の費用がかかった場合に、所得税の還付と住民税の減税によって医療費の負担を軽減できる制度です。

 

※総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%

意味ない?小児矯正をする3つのメリット

小児矯正には、大人の矯正にはない以下のようなメリットがあります。

 

  • 顎の成長バランスを整えることができる
  • 口腔機能の向上に繋がる
  • 永久歯の歯科矯正治療が楽になる

 

小児矯正のメリット①|顎の成長バランスを整えることができる

小児矯正は、成長期を利用して顎の成長バランスを整えることができます。成長期を利用したアプローチは小児矯正でしかできません。

 

出っ歯や受け口などの不正咬合は成長とともに顎の変形を引き起こし、顔貌にも影響を与えることがあります。

顎の変形が起きるほどの重度症例を大人の矯正で治す場合は、顎の骨を切る手術が必要になることが多いです。

しかし、小児矯正で顎の成長バランスを整えておくと、将来的な顎の変形を軽減できる可能性があります。

小児矯正のメリット②|口腔機能の向上に繋がる

子供のときの歯並びや噛み合わせは、食べる機能や発音機能の獲得に影響を与えます。

 

そのため、小児矯正で食べる機能や発音機能を獲得しやすい口内環境を作っておくことは口腔機能の向上に繋がります。

小児矯正のメリット③|永久歯の歯科矯正治療が楽になる

小児矯正をすると将来的に歯並びや噛み合わせを乱す要因を改善しておけるので、永久歯が生えた後の矯正治療が楽になる可能性があります。

 

抜歯や外科手術の回避、治療期間の短縮など、治療の負担が少なくなるのは大きなメリットです。

やらなきゃ良かった?小児矯正の5つのデメリット

小児矯正は大人の矯正にはないメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

 

  • 矯正歯科に通う期間が長くなる可能性がある
  • 装置を付けることで見た目が気になることがある
  • 食事や歯のケアが大変
  • 子供の協力度によっては治療結果が得にくい
  • 大人になってから再矯正が必要になる場合がある

 

ひとつずつ解説します。

小児矯正のデメリット①|矯正歯科に通う期間が長くなる可能性がある

小児矯正は、顎の成長や歯の生え変わりをコントロールしながら永久歯の歯並びや噛み合わせを整えます。

 

顎の成長が終わって永久歯が生え揃う15歳前後までは矯正歯科で治療を受けたり経過観察をしたりする必要があり、矯正歯科に通う期間は長くなる可能性があります。

小児矯正のデメリット②|装置を付けることで見た目が気になることがある

矯正装置の種類によっては、見た目に影響が出て気になることがあります。

小児矯正では、装着すると目立つタイプの矯正装置を使用する場合があるためです。

 

口を開けたときにワイヤーが見える、頭にバンドを巻く必要があるなど、見た目に影響する矯正装置を使用する可能性があります。

小児矯正のデメリット③|食事や歯のケアが大変

小児矯正では、歯にワイヤーやプレートが付いた矯正装置やマウスピースなどを装着する必要があります。

そのため、以下のような理由で食事や歯のケアをするのが大変になります。

 

  • 歯に付けた装置に食べ物が絡まって食事がしにくい
  • 食事の度に矯正装置を付け外しするのが面倒
  • 矯正装置のせいで歯に汚れや食べかすが停滞しやすい
  • 矯正装置が邪魔で歯磨きがしにくい など

 

食事の際に付け外しするタイプの可撤式矯正装置や顎外固定装置の装着管理、矯正装置が付いた歯のケアを子供一人で十分に行うのは難しいです。

食事や歯のケアには保護者も気を遣うことが多くなるでしょう。

小児矯正のデメリット④|子供の協力度によっては治療結果が得にくい

子供の治療への協力度によって、治療結果が左右されることがあります。

 

小児矯正で使用する矯正装置は、自分で付け外しできるものが多いです。

親が装置を付けるように話しても子供が嫌だと言えば矯正装置を使うのは難しく、良い治療結果も得られない可能性があります。

小児矯正のデメリット⑤|大人になってから歯科矯正治療が必要になる場合がある

小児矯正を行っても、大人になってからの歯の喪失、歯周病、歯ぎしり、親知らずなどの影響で歯並びや噛み合わせが乱れる場合があります。

 

このような場合は、再び歯科矯正治療が必要になります。

小児矯正はいつから何歳までに始めるべき?

小児矯正には、一概に「⚪︎⚪︎歳から矯正治療を始めるべき」という決まりはありません。

口の状態や顎の発育は、子供によって違うからです。

 

一般的には、7〜8歳頃に上下の前歯が永久歯になったタイミングで受診することが多いようですが、状態によってはもう少し早い時期から小児矯正を始めた方が良い場合もあります。

 

以下の場合は将来的に歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性があるので、気になったタイミングで歯医者を受診するのがおすすめです。

 

  • 3歳児検診で受け口を指摘された
  • 6歳前後で噛んだ時に下の前歯が上の前歯より前に出ている(反対咬合)
  • 永久歯の先天性欠如がある
  • 学校検診で不正咬合を指摘された
  • 乳歯や永久歯の歯並びがガタガタしている など

 

子供の歯並びや噛み合わせの異常は、自分では気づかないことが多いです。

乳歯が生え始めるくらいから虫歯予防を兼ねて定期的に歯医者で検診を受けつつ、適切なタイミングで小児矯正を始められるようにするのがいいでしょう。

小児矯正を第1期でやめるとどうなる?

噛み合わせが合っていて歯並びも気にならない状態であれば、第1期治療で治療を終えても問題ありません。

しかし、そうでない場合は噛み合わせが合わず、歯並びの悪化や顎関節症などを招く可能性があるので注意しましょう。

 

小児矯正は、第0期と第1期で顎の発育をコントロールして永久歯列の下地を作ります。

骨の中にある永久歯はコントロールできないため、基本的には永久歯の歯並びを整える第2期治療まで行う必要があると考えた方がいいでしょう。

まとめ

小児矯正は、乳歯がある段階、もしくは永久歯が生え揃った直後から始める矯正治療です。

顎の発育をサポートすることで、永久歯で良好な噛み合わせや歯並びを作るためのベースを作ることができます。

 

小児矯正は、子供の口の状態によっては3歳くらいから治療を始めることがあります。

子供の歯が生えてきたら虫歯予防のために歯医者で定期検診を受けつつ、歯並びや噛み合わせの様子も診てもらうようにするといいでしょう。

 

〈参考〉

小児矯正は保険適用される?保険以外で費用を抑える方法も解説

料金表 |松江 りゅう矯正歯科クリニック

子供の矯正の費用はいくら?|小児矯正の値段をまとめました

子どものマウスピース矯正(プレオルソ・T4K)

子供の矯正|小児で使用する装置は3種類あります!

子どもの矯正歯科 小児矯正|池袋クリア矯正歯科

子どもの矯正治療 |松江 りゅう矯正歯科クリニック

1期治療・2期治療【板橋区役所前ゆい矯正歯科】

子供の矯正と大人の矯正の違いとは?

小児のインビザライン矯正について(インビザライン・ファースト)(加筆修正)

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歯はいつ頃できるの? – 松本協立病院

昔より前歯が出てきた?大人になっても歯並びが変化する理由と解決法を解説 – 大阪オルソ

小児矯正を第一期でやめるとどうなるの?|医院ブログ

 

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この記事の監修者

歯科医師

髙橋 義充 先生

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