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2023/06/22
市販のマウスピース矯正は効果がない?自力で出っ歯や受け口を矯正できるか解説
目次
「矯正治療をしたいけれど、病院で治療すると値段が高そう」
「ドラッグストアで売っているマウスピース矯正は危険じゃない?」
「出っ歯や歯並びは市販のマウスピース矯正で改善される?」
こんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、市販のマウスピース矯正の特徴や効果、メリット・デメリットを解説します。
歯科医院で行うマウスピース矯正との違いを知り、検討してみてください。
ドラッグストアでも購入できる市販のマウスピース矯正とは?【特徴】
市販のマウスピースはドラッグストアやネット通販でも購入でき、手軽に矯正治療をはじめやすくなっています。
実際に、これらのマウスピース矯正は歯科医院に比べてお手ごろな価格で手に入ります。
2022年10月現在、様々なメーカー会社から販売されており、価格帯は2,000〜4,000円が相場です。低価格で販売しているマウスピースもあるため、まとまった費用がない方でも矯正をはじめやすいことが特徴の一つです。
ただし、国内外どちらの市販のマウスピースであっても医療機器には該当せず、また医療行為とは認められていません。
市販のマウスピース矯正は出っ歯や受け口などの歯並び改善に効果がある?
市販のマウスピース矯正は、出っ歯や受け口などの矯正に有効ではありません。
海外製品のマウスピースにおいては、一部でトラブルが発生している報告があります。※
※出典:カスタムメイド(マウスピース型等)の矯正装置の注意事項 | 公益社団法人 日本矯正歯科学会 (jos.gr.jp)
歯並びの改善に市販のマウスピース矯正は効果がないと言える理由を解説します。
理由①自分の歯型が取れない
歯科医院で、国家資格を持つ歯科医師または歯科衛生士が、正しい歯型を取ってくれます。
あなたの歯に合ったマウスピースを作ることができるため、歯の矯正効果につながります。
市販のマウスピース矯正の場合、付属している型取りキットを用いて自宅で簡易的に歯型をとります。自分で型取りをするため、「正確な歯型が取れるか」「ぴったり合うマウスピースが作れるか」は確約されません。トラブルが発生してもプロによるフォローがないため、自己責任で治療を続ける必要があります。
市販のマウスピースの型取り方法は、まずマウスピースをお湯につけて溶かします。やわらかくなったマウスピースを歯に押し当てながら型を合わせて製作するため、ぴったり作れるかは個人差があります。他にも、自分で取った歯型を技工所に送り、技工士に製作してもらう方法もあります。
理由②逆に歯へ負担がかかる可能性もある
マウスピース自体を簡易的に製作するため、かみ合わせが安定せず歯ぐきや歯に負担となる可能性があります。
具体的なトラブルの例として、「顎関節症」があげられます。
顎関節症は、顎に負担がかかり口が開かない症状や顎が痛むなどの症状を引き起こします。
市販のマウスピース矯正に期待できる効果
市販のマウスピースに期待できるのは、「歯と歯の接触を防ぐ」という点です。
「スポーツの際の歯への衝撃をやわらげる」「体幹を整える」など歯を保護し、身体のバランスを整える効果を得られます。
効果以前に違法?危険?市販のマウスピース矯正は医療行為ではない
市販のマウスピース矯正は、矯正治療を目的とした「歯を動かす」医療行為として認められていません。
そもそも、歯科医師の診断のないマウスピース矯正装置を技工所で製作したものは違法となります。
つまり、市販のマウスピース矯正装置は医療機器ではないのです。
歯科医師の診断がないものは国内の製品に関わらず、海外製品も医療機器には該当しません。
歯科技工士の法律には以下のように記されています。
第十八条 歯科医師又は歯科技工士は、厚生労働省令で定める事項を記載した歯科医師の指示書によらなければ、業として歯科技工を行つてはならない。ただし、病院又は診療所内の場所において、かつ、患者の治療を担当する歯科医師の直接の指示に基いて行う場合は、この限りでない。
引用元:関連法規|日本歯科技工士会
さらに、製作したマウスピースの形が不適切であると、歯列や咬合などに悪影響を及ぼすことが想定されます。歯科医師の判断がない状態で、マウスピースを技工士が製作して装着する行為は人体に危害を及ぼすおそれのある行為に該当するとされております。
市販のマウスピース矯正にもメリットはある?
費用やお手軽さの面では、市販のマウスピースの良さが目立ちます。
ただし、それがかえってデメリットとなってしまう可能性が高いので注意が必要です。
また、医療行為として認められた矯正治療ができるわけではありませんので、じっくり考えてから購入しましょう。
メリット①歯科医院のマウスピース矯正と比べて費用が安い
歯科医院で行うマウスピース矯正の費用と比べると、市販のマウスピース矯正は、圧倒的に安いです。
矯正費用の相場は次の通りです(診療費や管理費を除く)。
- 市販のマウスピース矯正:2,000~4,000円
- 歯科医院のマウスピース:前歯のみなど部分矯正の場合10〜50万円程度、全体矯正の場合100万前後
できるだけ価格を抑えてマウスピースを作りたい方にとっては、市販のマウスピース矯正も一つの手段です。
メリット②歯科医院に通う必要がなく手軽にはじめられる
近くの薬局やネットでも購入できるため、歯科医院にいく手間なく簡単にはじめられます。
また、型取りを自分でできる点でも、お手軽さを感じられます。
失敗したくない方へ|おすすめは歯科医院のマウスピース矯正
歯科医院で行うマウスピース矯正は、国家資格を持つ歯科医師による医療行為とみなされているため、治療として受けられます。
市販のマウスピース矯正と違い費用や通院の手間はかかりますが、出っ歯や受け口などの歯並びの治療が可能です。
オーダーメイドで自分だけのマウスピースで治療ができる
歯科医師による精密な診断や検査の元、シミュレーションしながらマウスピースを慎重に製作します。
よって、自分にぴったりのオーダーメイドのマウスピースができあがるのが特徴です。
歯科医師による診断のもと歯並びを治療できる
矯正治療の方針は、歯の並び方や歯の大きさ、顎の成長状態により、千差万別です。
そのため、歯科医院で精密な検査を行い、歯科医師に自分に合う綿密な治療計画を立ててもらう必要があります。
主に、「かみ合わせ」「歯の根っこの位置や矯正により歯にかかる負荷を予測」「移動方向や移動する歯の数、順序を細かく決定」「動かさない歯の設定」などを診断していきます。
また、公益社団法人日本矯正歯科学会によると、マウスピース矯正治療は以下の資格を持つ歯科医師によるのが治療がマウスピース矯正をするのが望ましいとされています。
- 公益社団法人日本矯正歯科学会認定の認定医以上の資格を有する者
- 学会指定研修機関(大学病院等)における矯正歯科基本研修修了の後、その期間を含めて、5 年以 上にわたり、矯正歯科臨床研修を修了した者
- 上記と同等の学識、技術、経験を有すると学会が判断する者
治療中のトラブルにもプロが対応してくれる
歯科医院でマウスピース矯正を受けると、その道のプロがいつでも対応してくれます。
矯正治療中もむし歯や歯周病などのお口トラブルが起こる可能性があります。
その場合でも、マウスピース矯正の進行に合わせて治療を受けることが可能です。
事前に矯正治療期間を把握できる
歯科医師による事前のシミュレーションにより最終的な歯並びを予測できます。治療前から治療後まで経過を細かく画像で確認できるマウスピース矯正治療の種類もあります。
医師が行うシミュレーションにより、トラブルがない限り計画通りに治療を進められます。
結婚式などのイベントに向けて治療計画を立てやすいことも特徴の一つです。
また、歯科医師は矯正治療の結果について担保する責任が求められています。
自己責任でマウスピース矯正をする市販のマウスピース矯正とは異なり、歯科医師が責任を持って治療をしてくれます。
マウスピースの洗浄剤は市販のものでもいいの?効果と選び方とは⁉
歯と同じように、マウスピースにも着色やプラーク(歯垢)が付着します。
プラークが付着すると細菌が繁殖しニオイやヌメリの原因となるため、マウスピースは毎日清掃することが望ましいです。
毎日洗うマウスピースの洗浄剤は「どんなものを使うべきか」「市販のもので良いのか」悩む方もいるでしょう。
市販のマウスピース洗浄剤の効果や種類について解説します。
市販のマウスピース洗浄剤の効果
市販のマウスピース洗浄剤でも「除菌」と記載されているものであれば、普段の汚れやニオイケアができます。
ただし、洗浄剤の種類によっては変色や変形が起こるリスクもあるため、洗浄剤は入れ歯用などと間違えないようにしましょう。
市販のマウスピース洗浄剤の種類と選び方のポイント
大きく分けて「泡タイプ」「つけ置きタイプ」があります。
「泡タイプ」の中には「スプレータイプ」もあり、外出先や忙しいときでも、1〜5分で洗浄が完了します。
「つけ置きタイプ」は主にご自宅で使用し、5〜30分で洗浄が完了します。
このように洗浄時間が異なるため、自分の生活に合ったものを選ぶのがポイントの一つです。
また、除菌ができるかどうかの記載(99.9%除菌など)、酵素が配合されているかもポイントです。食べかすなどたんぱく質の汚れは、酵素により分解されるスピードが早くなります。
まとめ
市販のマウスピース矯正は費用が圧倒的に安く、通院の手間がかかりません。
しかし、市販のマウスピース矯正は、そもそも医療行為とはみなされておらず「歯の矯正はできない」「リスクを伴う」ことがわかりました。
正しい診断のもと、自分に合った方法で歯並びを治療できるのは、歯科医院でのマウスピース矯正しかありません。
歯科医院のマウスピース矯正は、費用や手間がかかりますが、出っ歯や受け口などの歯並びを治療できます。歯並びを治療したい方は歯科医院へ行き、医師へ相談しましょう。
<参考>
海外で製作されたカスタムメイド(マウスピース型等)の矯正装置の取扱いについて|厚生労働省
顎関節症とは(特徴・分類など) | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
第48回日本理学療法学術大会 抄録集 動的バランス制御におけるマウスピースの効果より
関連法規|日本歯科技工士会 (nichigi.or.jp)
いわゆるマウスピース等の取り扱いについて|厚生労働省
aligner_pointer.pdf (jos.gr.jp)
日本臨床歯周病学会 | 口臭について (jacp.net)
No.54 日本応用酵素協会誌2019 (jfae.or.jp)
最終閲覧日は記事更新日と同日
この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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