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2024/09/30
受け口を手術する時の注意点は?失敗・後悔しないためにできることを解説
目次
受け口で悩んでいて、手術が気になっているものの失敗するのがこわい人もいらっしゃると思います。
この記事では、受け口の手術とはどういった手術なのか、保険適用できるのか、手術のリスク、失敗を防ぐ手段を解説しています。
受け口を治療する手術や手術のリスク、失敗を避ける方法を知りたい人に役立つ内容です。
受け口とはどんな状態?
受け口とよく言いますが、そもそも受け口とは何かについて解説します。
受け口は顎変形症の一つ
受け口は、「顎変形症(がくへんけいしょう)」の一種です。
本来上の歯が下の歯の前で噛み合わせるのに対し、下の歯が上の歯より前に出て噛んでいる状態です。
「反対咬合(はんたいこうごう)」と呼ばれることもあります。
詳しいことはわかっていませんが遺伝要素が大きいと言われています。
受け口には歯槽性と骨格性の2種類がある
受け口は2種類に分けられます。
- 下あごの骨が上あごの骨に比べて大きい「骨格性の受け口」
- 歯の位置が異常である「歯槽性(しそうせい)の受け口」
骨格性の受け口とは、上下のあごの位置や成長がずれてしまっている状態です。
あごは上下で成長するタイミングが異なり、下あごは上あごよりも後に成長します。
歯槽性の受け口は、本来生えるべき位置以外から歯が生えてきたことによって、上下の噛み合わせが逆になってしまう状態です。
受け口の手術はどんなもの?保険は適用される?
受け口の手術はどういった手術で、保険が適用されるのか解説します。
全身麻酔を使用した外科手術で骨を切る
受け口の手術は、全身麻酔を使用した外科手術です。
外科手術と言っても口の内側から切開するため、顔に傷は残りません。
医療機関で顎変形症と認められれば保険適用可能
一定の条件を満たした医療機関で顎変形症で、外科手術が必要と認められれば保険が適用可能です。
保険適用には外科手術前後に歯科矯正治療が必要なため、全体として数年単位の時間がかかります。
保険適用されない自費診療の治療方法も選択可能
治療期間を短縮したい場合には、自費診療の治療法を選択できる可能性があります。
保険は適用されないため治療費は高額になってしまいますが、治療期間を短縮したい人には有効な選択肢となるでしょう。
外科手術では骨格のズレを調整
外科手術では、骨を切って骨格のズレやバランスを整えます。
これにより、噛み合わせの機能面だけでなく、骨のゆがみによる関節痛や審美面(見た目)が改善される場合もあります。
受け口手術の失敗!?外科手術によって生じうる問題点
受け口の手術の失敗にはどんな事態が考えられるのでしょうか。
ここでは外科手術で生じうる問題点について解説します。
受け口手術の失敗例①|手術によって顔がかわる
外科手術では骨を調整するため、顔立ち・輪郭や鼻が変形する可能性があります。
そのため、外科手術を受けた人の中には、ご自身の顔の変化を受けいれられずに悩んでしまう人もいます。
今の顔立ちを全く変化させたくない人は慎重な検討が必要です。
また、外科手術では噛み合わせを優先して手術を行うため、結果として顔がやや左右非対称になってしまうおそれもゼロではありません。
受け口手術の失敗例②|睡眠時無呼吸症候群が悪化するおそれ
受け口の人は舌が低い位置にある傾向があり、睡眠時に舌が喉方向に落ちて気道が狭くなり、呼吸が止まる場合があります。
また受け口を改善する外科手術で下あごを後方に動かすと、気道が狭くなり症状が悪化するおそれがあります。
受け口手術の失敗例③|全身麻酔のリスク
全身麻酔を使った外科手術のため、死亡するリスクはゼロではありません。
実際に、顎変形症の手術を受けた人が医療事故により死亡してしまった事例もいくつか起きています。
全身麻酔の合併症のよくある症状として、悪寒や吐き気があらわれる場合があります。
また全身麻酔による合併症で脳・肝臓・腎臓・心臓・肺に障害が起こるリスクがあります。
受け口手術の失敗例④|手術後の腫れ・痛み・後遺症
受け口の外科手術後には、術部の腫れや痛み、耳鳴りが起きる可能性があります。
また痺れや感覚麻痺、口が開けづらいなどの症状を感じる場合も否定できません。
時間の経過とともに回復するのが一般的ですが、後遺症として残ってしまう可能性が無いわけではありません。
受け口手術の失敗例⑤|喉(のど)の圧迫により生じる問題
下あごを後方に移動させすぎてしまうと、気道や食道が狭くなってしまいます。
結果として呼吸しづらくなってしまったり、食べ物が飲み込みづらくなることがあります。
受け口手術の失敗例⑥|口のスペース不足により生じる問題
上記と同様に下あごを後方に移動させすぎてしまうと、お口の中のスペースがなくなってしまい、舌が収まらなくなります。
結果としてしゃべりにくくなったり、食事を噛みにくくなってしまうおそれがあります。
受け口の手術で失敗しないために
受け口の手術で失敗しないために役立つ情報をお伝えします。
成長期が終わってから手術を受ける
人は10代前半は成長期で顎が大きく成長するため、未成熟なうちに手術を受けて受け口が改善されたように見えても、その後の成長とともに受け口が再発する可能性があります。
あごの骨の成長が終了する16、17歳以降に手術を受けることが推奨されます。
顎変形症治療に長けた医療機関を選ぶ
受け口を含む顎変形症の治療が得意な医療機関を選ぶことが重要です。
外科手術の限界を知る
口の中から手術を行う外科手術のため、手術できる範囲には限界があることを認識しましょう。骨は血管・神経にかこまれていて、移動できる範囲には制限があります。
また、手術では噛み合わせなどの機能面を優先する必要もあり、審美性を最優先にできない場合もあります。
手術後の矯正と機能訓練をきちんと行う
手術後には歯列矯正治療と機能訓練(リハビリテーション)が必要です。
これらを行わないと、あごが元の位置に戻ってしまうおそれがあるためしっかりと取り組みましょう。
不安に感じたら医師に相談
もし手術後に不安に感じることがあれば、すぐに医師に相談しましょう。
本当に状態が悪い場合には、再手術が必要になるかもしれません。
まとめ
受け口は顎変形症の一つで、骨や骨格、噛み合わせに問題がある場合が多いです。
軽度の症状では歯列矯正だけでも治療可能ですが、骨格に問題がある場合は手術をしないと完全には治療できないこともあります。
外科手術のため、100%の成功や満足が約束されているわけではありません。
全身麻酔を使った外科手術のため、顔立ちの変化や手術に対する抵抗感が大きい人は、外科手術をせず歯科矯正治療だけに留めておく選択肢を取る人もいます。
外科手術を実施するかどうかを事前に医療機関と相談し、慎重に検討しましょう。
<参考>
受け口の手術を受けるデメリットはある? | 舌側矯正専門クリニックは大阪難波の「難波矯正歯科」
顎変形症の手術で後悔する理由は3つ:後悔しない病院選びのコツを紹介 | ミライズ矯正歯科南青山
反対咬合(顎変形症)・外科矯正 | 文京区茗荷谷の小石川矯正歯科クリニック
【歯科医師監修】顎変性症は手術が必要? 顔の変化と医療機関の選び方を解説
外科矯正で後悔する原因とは?後悔パターン例から失敗しないための対策まで | 銀座矯正歯科(オフィシャルサイト)
外科矯正後の顔の変化が受け入れられない | – 矯正歯科ネット
かみ合わせ矯正であご手術後、10代女性死亡「管理に改善すべき点」 [愛媛県]
下顎前突の外科矯正|受け口手術で失敗、その理由とは | 「歯並び」おまかせ.com
症例2.過去に受け口を治療したが再発した – 八潮市・三郷市・草加市成人矯正NAVI 監修:矯正歯科飯島クリニック
最終閲覧日は記事更新日と同日
この記事の監修者
歯科医師
髙橋 義充 先生
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